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令和 2年 9月定例会(第5号 9月17日)

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  1. 御殿場市議会 2020-09-17
    令和 2年 9月定例会(第5号 9月17日)


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    令和 2年 9月定例会(第5号 9月17日)          令和2年御殿場市議会9月定例会会議録(第5号)                          令和2年9月17日(木曜日)     令和2年9月17日午前10時00分 開議  日程第  1 一般質問    3番 勝 又 英 博 議 員      1 未来の公共交通と駅前開発について        (一問一答方式)      2 治山・治水対策の充実について          (一問一答方式)   14番 田 代 耕 一 議 員      * 本市の農業用疏水及び田園景観の保全と継承について                            (一括質問一括答弁方式)    9番 菅 沼 芳 德 議 員      * コロナ禍後を見据えた農業政策について  (一括質問一括答弁方式)    1番 阿久根 真 一 議 員      * 交通弱者支援事業の現状と市内公共交通機関のビジョンについて                                (一問一答方式)    7番 川 上 秀 範 議 員      * GIGAスクール構想における本市の学習指導への取り組みについて                            (一括質問一括答弁方式) 〇本日の会議に付した事件
      議事日程に同じ 〇出席議員(21名)   1番  阿久根 真 一 君           2番  林   義 浩 君   3番  勝 又 英 博 君           4番  本 多 丞 次 君   5番  芹 沢 修 治 君           6番  中 島 宏 明 君   7番  川 上 秀 範 君           8番  髙 橋 靖 銘 君   9番  菅 沼 芳 德 君          10番  永 井 誠 一 君  11番  土 屋 光 行 君          12番  杉 山   護 君  13番  神 野 義 孝 君          14番  田 代 耕 一 君  15番  小 林 恵美子 君          16番  勝間田 博 文 君  17番  勝間田 幹 也 君          18番  高 木 理 文 君  19番  辻 川 公 子 君          20番  黒 澤 佳壽子 君  21番  髙 橋 利 典 君 〇欠席議員   な し 〇説明のため出席した者  市長                  若 林 洋 平 君  副市長                 勝 又 正 美 君  教育長                 勝 亦 重 夫 君  経済外交戦略監             瀧 口 達 也 君  企画部長                井 上 仁 士 君  総務部長                山 本 宗 慶 君  市民部長                南   美 幸 君  健康福祉部長              芹 沢 節 已 君  環境部長                志 水 政 満 君  産業スポーツ部長            沓 間 信 幸 君  都市建設部長              橘 髙 健 二 君  危機管理監               杉 本 嘉 章 君  会計管理者               芹 澤 勝 徳 君  教育部長                田 代   学 君  消防長                 勝間田 誠 司 君  総務課長                小 林 和 樹 君  秘書課長                上 道 勝 人 君  教育監兼学校教育課長          勝 俣   純 君 〇議会事務局職員  事務局長                鈴 木 秋 広  議事課長                田 代 こず江  課長補佐                佐 藤 歌 愛  主任                  桐 生   守  主任                  渡 邊 一二司  副主任                 荒 井 祥 太 ○議長(神野義孝君)  出席議員が法定数に達しておりますので、会議は成立いたしました。 ○議長(神野義孝君)  ただいまから、令和2年御殿場市議会9月定例会を再開いたします。 ○議長(神野義孝君)  直ちに本日の会議を開きます。                          午前10時00分 開議 ○議長(神野義孝君)  本日の会議は、お手元に配付してあります日程により運営いたしますので、御了承願います。 ○議長(神野義孝君)  日程第1 「一般質問」を行います。  最初に、3番 勝又英博議員の質問を許します。  3番 勝又英博議員。 ○3番(勝又英博君)  おはようございます。今回の一般質問は、「未来の公共交通と駅前開発について」通告に従い一問一答形式で行います。  昨日の市長さんの御提案、ワールド・エコ・センター構想はすばらしいと感じております。いつも私のアイデアを支援してくださりありがとうございます。お礼申し上げます。  第四次御殿場市総合計画、後期計画素案が先日配布され、ワールド・エコ・センター構想はその段階ではありませんでしたが、次回の配布では言及していると期待しております。  前期計画の内容では、「面的な都市と拠点の整備の項目」を読みますと、駅周辺の混雑解消などを図るとあり、住民重視の施策が掲げられております。  また、御殿場市は観光ハブ都市としての受入れ姿勢の強化を図ることとしています。観光ハブ都市とは何かと言いますと、滞留観光の推進と中継基地機能の強化とあります。本市がどのように推進しているのか興味のあるところです。  さらに、来年度には、御殿場市都市計画マスタープランも作成する予定だとの話もあり、移住者の増加を期待している本市がどのような都市開発をするのかが大きな課題だと推察します。5財産区のある地域と富士岡地区とのバランスも十分配慮した施策であると信じております。  持続可能な開発目標(SDGs)を2030年に達成するという大きなテーマの実現に向けて何をどうするのかが残念ながら今の段階では、具体的に見えてまいりません。今回のすばらしい構想に期待しております。  「脱炭素社会・循環経済・分散型社会」への移行が必要であると私も考え、環境に優しいまちがよいと思います。花のまち、御殿場も一つの案です。  本市も2050年までにゼロカーボンシティ構想があるとのことですが、これも残念ながら私には具体的なプログラム、タイムスケジュール、そして財政の裏づけがまだ見えません。  このような状態の中で、まずは住民の足となる交通手段と「観光ハブ都市」の観光客へのおもてなしの手段としての公共交通の意義を今回は考えながら、未来都市構想を質問した次第でございます。  今回タクシー業界も含めた公共交通を問いたいところでしたが、新型コロナウイルス感染対策で苦しい現実と推測しておりました。9月の補正予算で3,000万円の補助施策が出されました。議員からの発案との話もあり、まずは感謝のお礼を申し上げます。  そして、コロナがアフターコロナの時代に入り、タクシーのさらなる有意義性を行政とともに考えてもらいたいとさらに願うところです。  では、現状のバスシステムの状況ですが、市内路線のバス事業者は、2社で運行し、路線バスは循環等の名称はあるものの、主に御殿場駅を起点としています。例年1,200万円ほどの補助を行い維持してまいりますが、年々本数の減少が見られます。私の住む上小林では、朝一本しかなく夕方御殿場駅から戻るバスはありません。小山町では今年からコミュニティバスやデマンドバスが始まりました。近隣市町の連携も必要であると思います。  反面、バスの利用客が増加したとの話もあり、富士急行の集計によると、平成29年度約76万4,000人、令和元年度では85万1,000人が使ったという統計がございます。  まず、大きな質問の1つ目の1番目です。「バスシステムの状況について」お伺いします。  具体的な通勤・通学客の人数や観光客の利用状況は分からないとのことです。バス利用客がなぜ増加したのか、また今後のバスシステムをどのように利用するかを御説明ください。 ○議長(神野義孝君)  企画部長。 ○企画部長(井上仁士君)  お答えいたします。  本市では、一昨年から事業者との連携を強化し、「路線バスに1人1年に3回乗りましょう」ということを合い言葉に、利用を呼びかけるチラシの全戸配布や、バスの乗り方教室の開催など、様々な利用促進運動を展開いたしました。  また、バス事業者におきましても、河口湖から御殿場駅を経由し、アウトレットを結ぶ路線や、御殿場駅から原里地区を経由し、須山ぐりんぱ方面を結ぶ路線など、通勤・通学等の生活交通だけでなく、インバウンドを含む観光客の移動ニーズを的確に取り込み、乗客が増加した路線がございました。こうしたことから、路線バス利用者の増加につながったものと分析しており、事業者と連携した地域公共交通維持に手応えを感じているところでございます。  そのようなことから、今後のバスシステムの活用について御説明いたします。  高齢者、障害者のための通院、買物や児童生徒や若年層の通学・通勤など、様々な市民の生活交通の手段として、路線バスは重要な地域の公共交通機関であり、高齢者も増加する中、今後もその重要性は変わりません。  コロナ禍におきましても、助成券事業を御承認いただきましたが、路線バスが今後も地域で存続できるよう、全市的な利用促進運動を引き続き展開するとともに、各種施設の整備や大規模な宅地創出など、新たな移動ニーズが見込まれる状況となったときには、速やかに地域公共交通協議会など、関係者による検討を通じて、ルートの改善や新路線の設定の必要について協議してまいります。  以上、答弁とさせていただきます。 ○議長(神野義孝君)  3番 勝又英博議員。 ○3番(勝又英博君)  ありがとうございました。バスシステムについては、終わります。  次に、交通拠点と言われる「JR富士岡・南御殿場・御殿場駅の開発と公共交通の関連について」に移ります。  都市計画課に聞くところによりますと、富士岡駅や南御殿場駅の駅前開発は、現状ないとのことです。市街地活性化基本計画で御殿場駅前開発だけがあるようでございます。通勤・通学で乗車する市民のことを考えますと、早急に対応していただきたいと思います。  また、今回の質問では、御殿場駅富士山側の開発についてはコメントいたしませんが、後日時間を頂き、考えを述べたいと思います。  裾野市では、トヨタが新しい「コネクティッド・シティ」のプロジェクト概要を発表しました。裾野市と富士岡地区と印野地区との協力で「スーパー・エコ・ガーデン・シティ構想」や、「スーパー・コネクティッド・シティ構想」のような20年先、将来を考えることは必要であります。  そこで、市の当局に大きな質問の1つ目の2番目として、交通拠点の御殿場駅・南御殿場駅・富士岡駅の20年後について伺います。 ○議長(神野義孝君)  企画部長。 ○企画部長(井上仁士君)  お答えいたします。  御殿場駅・南御殿場駅・富士岡駅を交通拠点と位置づけ、御殿場駅周辺は交通結節点機能のほか、商業、業務機能の向上を図り、駅中心としたにぎわいの創出を目指して、中心市街地活性化計画を立てており、20年後には都市計画道路新橋茱萸沢線、県道沼津小山線の整備が終わり、道路網が構築されておりますので、期待していただきたいと思います。  また、南御殿場駅や富士岡駅については、駅周辺環境や駅利用者の利便性の向上、安全な交通環境を目指しており、富士岡駅につきましては、JR東海と積極的に協議し、送迎車両による駅周辺の混雑解消を検討中でございます。  以上でございます。 ○議長(神野義孝君)  3番 勝又英博議員。
    ○3番(勝又英博君)  ありがとうございます。もう何十年も前からJR御殿場線の複線を希望する声があったとのことですが、いまだ残念ながら実行に移されておりません。東京方面からの移住の足を鉄道だと考えると、頭を抱える状態です。PASMOやSuicaも完全にまだ使えないのが状況でございます。  平成30年度の御殿場線の各駅1日平均乗車人数は、御殿場駅が4,900人、南御殿場駅が300人、富士岡駅が1,100人とのことです。通勤・通学での利用が大半だと思われます。観光客がどの交通手段で、何人ぐらい本市に来ているかの調査も至急実施していただきたいと考えております。  本市は若干データ蓄積が少ないとも思われます。アウトレットに何人ぐらい、またどのような交通手段で御殿場市に来ているのかの統計も欲しいところでございます。  情報が少ない中、2番目の再質問です。  各地域拠点あるいは支所と最寄りの駅とを公共交通でつなぐべきだと私は考えますが、その実態を教えていただきたいと思います。 ○議長(神野義孝君)  企画部長。 ○企画部長(井上仁士君)  お答えいたします。  各鉄道駅は、他の交通機関への乗り継ぎの結節点となる施設であり、特にJR御殿場駅は市内最大の交通結節点として、市内バス路線38路線のうち、31路線が接続しております。各路線は複数の地域を結んでおり、途中のバス停の利用者を考えますと、これら御殿場駅から放射線状に延びる路線は維持していく必要がございます。  南御殿場駅では、印野、原里方面からの通学者等の送迎が見られます。富士岡駅につきましては、雨天の日を中心とした送迎車両が見られる一方で、駒門工専運営協議会による通勤用貸切りバスも乗り入れております。こうした状況によって、路線バスについては、従来からの運転手不足やコロナ禍の影響により、現在の路線の維持も容易ではございません。  支所など、各地域拠点と最寄り各駅を結ぶバス路線の必要性については、利用見込みや路線の採算性、交通の安全性などを考慮しつつ、事業者と連携して中長期的に検討してまいります。  以上でございます。 ○議長(神野義孝君)  3番 勝又英博議員。 ○3番(勝又英博君)  それでは、大きな質問の3番目に移りますが、公共交通を期待しているのは、やはり高齢者であると思われます。長寿福祉課によれば、2040年ぐらいまで御殿場市の老齢化は続くと考えられております。つまり、20年後でございます。  そこで、高齢者が増加する将来への対応ですが、地域拠点内を循環する交通手段が必要であると思いますが、いかがでしょうか。 ○議長(神野義孝君)  企画部長。 ○企画部長(井上仁士君)  お答えいたします。  各地域の拠点内外を結ぶ交通手段につきましては、移動事業と利用者見込みを見極めながら、導入を検討する必要があると考えております。昨年度より本市と静岡県が主導し、玉穂地区の市営第4団地とマックスバリュー原里店を結ぶ移動支援サービスモデル事業が始まりました。これは地区内の社会福祉法人所有のワゴン車の空き時間を活用し、住民ボランティアが運転と添乗を担当し、現在月に1回運行されております。  このような取り組みが広がる動きを見せております。今年度は北久原区でも住民ボランティア主体により、独居高齢者等への移動支援サービスの取り組みが検討されております。こうした取り組みは、路線バスやタクシーを補完し、各地域の拠点化を結ぶ取り組みとして有効であるため、市としましても関係法令を含めて、企画・立案・運営について支援してまいりたいと考えております。  以上でございます。 ○議長(神野義孝君)  3番 勝又英博議員。 ○3番(勝又英博君)  ありがとうございます。引き続いてボランティアのことでございますが、菅総理大臣も「自助・共助・公助、そして絆(つながり)」と述べられております。ボランティア活動による奉仕の精神は本当に大切だと思います。ボランティアタクシーは、地域での協力のたまものだと理解しております。  そこで、改めて、行政としてデマンド交通手段の導入の考え方を伺います。 ○議長(神野義孝君)  企画部長。 ○企画部長(井上仁士君)  お答えいたします。  小山町ではこの4月からデマンド交通を開始しており、ワゴン車3台をリースし、朝夕は通学時間に合わせた定時路線として運行し、同じ車両を日中はデマンドバスとして利用しております。  デマンドバスの利用に関しては、1日当たりの合計利用人数は、コロナの影響もあるかもしれませんが、3台合わせて平均5.7人と伺っております。これに対して経費ですが、令和2年度当初予算でおよそ8,000万円余でございます。  デマンド交通は、コミュニティバス同様、乗合旅客事業者に運行委託しますので、燃料代、運転手人件費、車両借上料をはじめ多額の経費を要し、本市の人口規模で小山町と同様の方法、同じ頻度で全市的にデマンド交通を導入した場合は、年間3から4億円の財政負担が見込まれます。  高根地区におきましても、過去に財産区、法人の皆様にも入っていただき、協議し、時間をかけて検証いたしましたが、やはり不便であり、かつ採算に合わないとの結論でございました。  こうした結果、本市においては、基幹的なバス路線が維持されていることに加えて、タクシー事業者との連携も図られていることから、デマンド交通の導入ではなく、公共交通事業者との連携による取り組みを進めながら、地域主体による移動サービス支援も含めた交通施策を総合的に実施しているところでございます。  以上でございます。 ○議長(神野義孝君)  3番 勝又英博議員。 ○3番(勝又英博君)  ありがとうございます。それでは、4番目に移ります。  デジタル・情報社会が進む中、タクシー業界やバスシステムも大きく変化していくと考えます。地域を支える情報テクノロジー・エネルギーの活用方法(地産地消型)・自動運転による公共交通などが10年先には大きく変わります。自動車業界が目指す「CASE」と呼ばれる、「つながり・自動運転・共有化・電動化」の技術革新が今後さらに進みます。その中では、まちのデザインも大きく変化すると思われます。  そこで、20年後のまちのデザイン、未来都市構想を御教授ください。 ○議長(神野義孝君)  企画部長。 ○企画部長(井上仁士君)  お答えいたします。  本市におきましては、SDGsの推進、ゼロカーボンシティの宣言、エコガーデンシティ構想の推進をしております。  まず、SDGsの推進は、現在策定中の後期基本計画における政策、施策にひもづけられ、体系的に取り組まれるものです。  ゼロカーボンシティへの取り組みやエコガーデンシティ構想は、SDGs推進のための施策をそれぞれの枠組みで集約したものでございます。  具体的には、SDGsに11「住み続けられるまちづくりを」という目標があり、交通弱者のための公共交通の利便性向上及び利用促進が示されております。また、13「気候変動に具体的な対策を」との目標もあり、CO2削減対策が求められております。  こうしたSDGsの目標実現に貢献していくために、交通弱者と環境に優しい公共交通の利用を促進する取り組みがゼロカーボンシティを目指す取り組みの中には含まれておりますが、このような環境に配慮したまちづくりを進めていくことで、合わせて本市の魅力をさらに向上させ、観光や物産、企業誘致、技術開発など、地域経済を活性化していく取り組みがエコガーデンシティ構想でございます。  これらに総合的に取り組み、相乗効果を生み出していくことで、中長期的に環境・経済・社会のバランスの取れたまちづくりが進展し、世界遺産富士山の麓で今後も持続的に発展する未来都市が構築されるものと考えております。  以上、答弁とさせていただきます。 ○議長(神野義孝君)  3番 勝又英博議員。 ○3番(勝又英博君)  ありがとうございます。引き続き、JRの駅前を中心に考えていく時代か、近々できる第二東名の有効な利用方法や現状の高速バスの利用方法も考慮に入れた公共交通の再構築を考えるべきか、様々なケースを考えるときだと思います。  通勤スタイルもアフターコロナ時代には変化します。新型コロナウイルス感染拡大が経済社会に大きな影響を及ぼしています。持続可能な開発目標(SDGs)の達成を目指し、「脱炭素社会」・「循環経済」・「分散型社会」への移行により、社会全体をより持続可能で強靭なものに変革していく必要があります。  持続的に発展していく未来都市の中で、未来の公共交通が果たす役割についてお伺いいたします。 ○議長(神野義孝君)  企画部長。 ○企画部長(井上仁士君)  お答えいたします。  エコガーデンシティ構想、SDGs、ゼロカーボンシティなどの取り組みを通じて、中心市街地のみならず、市内各地区において、再生可能エネルギーが地産地消され、低炭素型で、災害にも強く、各地区が特色を生かして反映する自立分散型の未来都市が形成されると考えております。  未来の公共交通は、自動運転をはじめとした各種の先端技術が活用され、ユニバーサルデザインに基づき、高齢者、障害者など、誰にでも優しい乗り物となり、また、EV(電気自動車)やCO2排出ゼロである水素エネルギーを活用した燃料電池自動車など、環境に優しい方式を採用し、本市内において活気ある各地域拠点を結ぶ役割を担っていくものと考えております。  以上でございます。 ○議長(神野義孝君)  3番 勝又英博議員。 ○3番(勝又英博君)  ありがとうございます。大きな1つ目の質問の最後でございます。  自治体単位では2050年までの「CO2排出量実質ゼロ」を目指す「ゼロカーボンシティ」宣言が既に148自治体であり、人口規模でも7,000万人もいます。本市では、新たにワールド・エコ・センター構想もできました。さらには、エコガーデンシティ構想があるようです。  私はまず拡大するという意味で、スーパー・エコガーデンシティ構想プロジェクトの10年間の具体的なプログラム作成を御提案します。裾野市と富士岡地区、印野地区で、最先端の技術を導入して、「産業政策」「エネルギー政策」「環境政策」「交通政策」の調和を考慮し、独自の御殿場型、富士山麓みくりやにふさわしい構想をお願いいたします。  残念ながら、通告がないので今回はワールド・エコ・センター構想は質問できません。平成27年から始まりましたエコガーデンシティの推進協議会があったようでございます。そして、このエコガーデンシティ構想の現状の成果や進捗状況を御説明ください。 ○議長(神野義孝君)  企画部長。 ○企画部長(井上仁士君)  お答えいたします。  エコガーデンシティ構想の進捗状況でございますが、再生可能エネルギー創出やドローンなど、先端技術活用による環境保全の取り組みを進めており、現在10のプロジェクトが進行中でございます。  中でもトヨタグループと連携し、CO2を一切排出せず、究極のエコカーと呼ばれる燃料電池自動車用の水素ステーションを、県東部伊豆地域では初めて誘致し、本年4月より施設が供用開始されております。  また、千葉大学など、学識者や航空測量会社と連携し、多様な地形要素を有する加藤学園御殿場キャンパスにおいて、ドローンや小型無人ヘリ、バックパック型レーザーライダーといった先端技術を活用し、環境保全や森林保全のための実証実験が行われております。  さらに、日経SDGsランキングにおいて、日本の企業でトップグループに評価されている株式会社リコー様とは、包括連携協定に基づき、マイクロ水力発電など、再生可能エネルギー活用における連携を進めております。  エコガーデンシティ構想の今後の展開でございますが、優れた環境と景観の形成による本市の魅力の向上により、観光交流人口をさらに増大させるとともに、産官学金の連携による産業振興を促進し、世界遺産富士山の麓にふさわしい環境と経済が好循環するまちづくりを進めてまいります。  その一つの取り組みとして、昨日の議会答弁にもございましたとおり、第四次御殿場市総合計画後期基本計画に位置づけをいたしますが、環境への取り組みが御殿場の未来をつくるとの認識の下、本市の環境優位性を最大限に活用して、環境版シリコンバレーの構築を強く推進し、世界遺産富士山の麓から環境問題を全世界に発信していくワールド・エコ・センターとしての地位を確立してまいります。  以上、答弁とさせていただきます。  (「期待して終わります。」と勝又英博君) ○議長(神野義孝君)  それでは、2問目の質問を許します。  3番 勝又英博議員。 ○3番(勝又英博君)  今回の質問事項の2つ目でございます。通告に従いまして、一問一答形式で行います。  まずは、先日行われました防災訓練のすばらしさをここで報告させていただきます。本市は、富士山の噴火が最大の災害だと思われますが、これも新たなハザードマップができております。コロナ対策を含めた上での8月27日に実施した地震を想定した災害訓練は、さすが危機管理課のリーダーシップの成果だとめったに褒めない私も褒めさせていただきます。  時間がないので、次の質問をさせていただきます。「森と水を守るという観点から治山治水対策の充実について」でございます。  本市の林野率は56.2%であり、1,100haほどあります。県は早くから森の力再生事業のためとの理由から、税金が既に静岡県にはありました。国には新しく「森林環境税」と「森林環境贈与税」を平成31年3月に創設しました。これは、ハード面での森林事業の森林整備や林業の育成を図りたいとの意図だと考えられます。まず、治山治水の理解を進める観点から、特に災害に強い山づくりの現状について伺います。 ○議長(神野義孝君)  都市建設部長。
    ○都市建設部長(橘髙健二君)  お答えいたします。  森林整備の補助金につきましては、治山治水の効果があると考えており、森林組合をはじめ地域林業者の皆様と協力しながら、森林環境保全直接支援事業や森の力再生事業などの国県補助金を効果的に活用して、順次進めております。  これに森林環境譲与税を財源とした市の森林整備が加わることにより、地域の森林整備がさらに加速して、災害防止、水源涵養、地球温暖化防止などの森林が持つ多面的機能が最大限発揮されることを期待しております。  以上でございます。 ○議長(神野義孝君)  3番 勝又英博議員。 ○3番(勝又英博君)  再質問でございますが、国・県の補助金を効率的に活用するという答弁がございましたが、もう少し詳しく教えてください。 ○議長(神野義孝君)  都市建設部長。 ○都市建設部長(橘髙健二君)  お答えいたします。  森林整備の補助金につきましては、国が進める森林環境保全直接支援事業があります。これは、杉、ヒノキなどの針葉樹の一体的な整備を補助するものであります。また、木材は搬出、売却するための作業道の開設も補助対象となります。  また、国の林業木材産業構造対策事業につきましては、最新の林業機械の導入を支援する補助金であり、本市においてはチップ工場の建設を支援します。  次に、森の力再生事業につきましては、静岡県が独自に進める間伐作業を助成します。県においては、本事業と同時に、ものづくり県民税を設立することで、財源を確保しながら、道路から離れ、勾配が急な土地を対象に切り捨て間伐を支援します。  いずれにしましても、林業においては国・県の補助メニューが充実しており、効果的かつ効率的に活用することにより、森林整備と地域林業の活性化を目指してまいります。  以上でございます。 ○議長(神野義孝君)  3番 勝又英博議員。 ○3番(勝又英博君)  ありがとうございました。効率的にかつ適正に補助金が使われることを望みます。また、新しい御殿場市の森林組合の活動にも期待しております。  次に、最近の大洪水を起こしている治水事業に話を移します。気候変動による自然災害も甚大な被害をもたらし、長期的な温暖化は暮らしや経済、社会に大きな影響を与えていると思います。富士山麓みくりや地方の本市は、水源地でもあり、水の力の源であります。  そこで、防災力や環境の改善を含めた、本市の河川の改修や維持管理について現状を御説明ください。 ○議長(神野義孝君)  都市建設部長。 ○都市建設部長(橘髙健二君)  お答えいたします。  昨今大型台風の上陸やゲリラ豪雨が多発し、当市としても河川の整備が重要であると認識しております。このような状況下で、現在、県や市で河川改修事業を地域要望に応えるべく随時整備を進めております。  まず、県で行っている河川改修は幾つかありますが、1級河川黄瀬川は、平成19年台風9号による豪雨で氾濫し、甚大な被害が生じたことを受け、県知事が現地視察をした経緯があります。  市と地域住民は命と生活基盤を守るため、早期の河川改修による対応を求めました。その結果、現在、尾尻地先の下流域から護岸のかさ上げや、川床を掘削し、流下断面を確保する工事が進められております。昨年の台風19号により多少の被害はあったものの、甚大な被害はなかったことから、整備による氾濫防止効果が向上しているものと考えられます。  また、地域が独自に県に対し河川改修の要望活動を行う場合、地域と協働した活動を行っております。  次に、市で行っている河川改修ですが、地元からの要望を受け、市民の生命や財産を守るため、河川改修を進める整備計画として、後期基本計画3か年実施計画に位置づけ、これに基づき市単独の河川改修事業や国庫補助事業により、年間10河川程度の河川改修事業を実施しております。比較的断面の大きな主要河川については、ほぼ整備が完了し、現在は川床幅が狭い小河川を中心に整備を進めております。  昨年の台風19号による豪雨については、河川整備が進んでいることもあり、幸いにして大きな災害等の被害はありませんでしたが、一部支障があった箇所については対応しているところでございます。  今後も河川改修につきましては、地域要望に対して計画的に整備を進めるとともに、維持管理については河川の氾濫などを未然に防ぐため、定期的なパトロールはもとより、出水期前に滞水の発生原因となる河川のごみの除去や土砂のつまりの清掃、また、地域や各省庁からの情報提供を基に、構造物の破損、不具合の早期発見、補修対応などの迅速化を図ることで、河川の良好な機能維持に努めています。  この結果、日頃から適切な維持管理により、河川の氾濫等の甚大な被害がないことを自負しております。  以上でございます。 ○議長(神野義孝君)  3番 勝又英博議員。 ○3番(勝又英博君)  最近、私も高根地区の陳情を受けまして、できれば早急にいろいろな河川の手入れ含めてやっていただきたいと思いますが、高根地区は本市でも源流であり市民の水害に対する心配は計り知れないものと思われます。  そこで、地域からの要望状況や対応状況についてお伺いいたします。 ○議長(神野義孝君)  都市建設部長。 ○都市建設部長(橘髙健二君)  お答えいたします。  要望状況につきましては、河川改修、用水路も含め、昨年度は29件、河川修繕は124件となっております。河川改修の対応につきましては、限られた予算の中で全ての要望に応えることが難しいため、河川の沿線に住宅などがあり、河川の土手が削られて、建物等に影響がある箇所から優先的に事業化を図っている一方、自然環境に配慮する観点から、河川改修しなくても影響がない河川については、当面、整備を行わない方針であり、要望書に対する整備の有無は、毎年各区長へ回答しております。  また、河川修繕については、緊急性を要することから、各地区からの要望書が提出された際は、現地を早急に確認し、区長と連絡を密にして、その対応状況について報告をしております。  いずれにしましても、全ての要望に応えられるよう、また河川本来の機能が十分発揮されるよう適切な維持管理を行い、市民の安全・安心の確保により一層努めてまいります。  以上でございます。 ○議長(神野義孝君)  3番 勝又英博議員。 ○3番(勝又英博君)  ぜひよろしくお願いいたします。  大きな3番目の最後の質問になりますが、自然災害を想定した治山・治水の具体的なハード面での対策を御説明いただきたいと思います。 ○議長(神野義孝君)  都市建設部長。 ○都市建設部長(橘髙健二君)  お答えいたします。  治山事業及び治水事業につきましては、県営事業であることから、市として直接的な対策を講ずることはできませんが、地元要望を踏まえ、県に対しては積極的に要望しております。  また、事業の実施に当たっては、県議会議員に協力をしていただきながら、県との情報共有、連携により、しっかりと対応しているところでございます。  以上でございます。 ○議長(神野義孝君)  3番 勝又英博議員。 ○3番(勝又英博君)  今回の最後の質問でございます。温暖化によると思われる自然災害の激甚化が今年も新聞記事に取り上げられております。  そこで、ソフト面での状況、危機管理の面で、豪雨洪水の災害リスクをどう防ぐ政策を持たれているかを御説明してください。 ○議長(神野義孝君)  危機管理監。 ○危機管理監(杉本嘉章君)  ただいまの質問にお答えをします。  近年の温暖化に起因し、激甚化する大雨、洪水等の自然災害の対策としては、河川整備などのハード面だけなく、住民への日頃からの防災意識の向上や自主防災会との連携による避難訓練の実施など、ソフト面においても事業を万全にし、想定を超える大規模な災害が発生した場合においても、命を守り、被害を最小限にとどめ、減災につなげることが重要です。  住民を対象とした具体的な取り組みとして、各種団体への防災出前講座、中学生対象のふじのくにジュニア防災士養成講座等の防災教育を実施していくことや、居住地域での安全確認、リスクの把握の手段として、区別防災マップを作成し、全戸配布することにより、防災意識の向上及び避難行動の資としております。  各区の自主防災会においては、水防訓練や防災指導者ステップアップ研修において、最新の防災情報を基にした研修を実施しながら、市との連携を図っております。  また、避難訓練として、御殿場地区2区、富士岡地区9区の土砂災害警戒区域を有する11区を対象に、電話や戸別訪問、戸別受信機等からの情報伝達に引き続く、避難訓練を毎年順次に行うとともに、対象区は避難計画を作成し、災害時要配慮者等も参加した訓練、逃げ遅れのない確実な避難の実施に取り組んでおります。  災害の発生を未然に防ぐことはできませんが、防災のためのハード・ソフト両面の総合的な対策による平常時からのリスクの把握と分散、自助・共助・公助の一体的な施策による情報の共有、伝達の迅速化などにより減災を図り、引き続き安全で安心して暮らせるまちづくりに努めてまいります。  以上、答弁とさせていただきます。  (「期待して終わります。」と勝又英博君) ○議長(神野義孝君)  以上で、3番 勝又英博議員の質問は終了いたしました。 ○議長(神野義孝君)  この際、10分間休憩いたします。                           午前10時45分 ○議長(神野義孝君)  休憩前に引き続き会議を開きます。                           午前10時55分 ○議長(神野義孝君)  日程第1 「一般質問」を継続いたします。  14番 田代耕一議員の質問を許します。  14番 田代耕一議員。 ○14番(田代耕一君)  私は、通告に従い、本市における農業用疏水と田園景観の継承について、一括質問一括答弁方式で、質問をいたします。  私は、親から、わさび栽培、稲作の経営を譲り受け、そしてまた、現在息子へ引き継いでいます。今思えば、私は、若かりし頃、当然のように農業に取り組み、一人前になってやろうと強い気持ちで臨んでいました。父は口にはいたしませんでしたが、さぞうれしくも、この厳しい大自然が相手、そして技術的な面など心配な面もたくさんあったことと思います。これは私が、ようやく父の気持ちを理解できる年になったからこそ実感できるものであります。  私は、今回、このように、御殿場市の農業遺産とも言える農業用疏水と田園景観をいかに保全・維持管理をして、次の世代へ継承していくか、そのことを強く思い、考え、今回質問するものです。  さて、御殿場市は、ちょうど、御殿場駅から、富士登山駅伝のコースとなる滝ケ原街道が分水嶺であります。駅から富士山を眺め、左手の水は黄瀬川に集約され駿河湾へ、右手の水は鮎沢川に集約され相模湾へと注ぐという、水系が市の真ん中で二分されるという大変珍しくも、自然の雄大さ、水流の壮大さを感じる地域という景観があります。  そして、「疏水」という言葉は、現在ではあまり使われず、若い方にはなじみのない言葉かもしれません。人が、ある目的をもって水路を人工的に造って水を引くこと、そういった行為を意味します。水は高いところから低いところへ流れますが、我々の先人たちは、荒れた大地を水田へ生まれ変わるよう、自然の姿にあらがい、水路を造り、水田を切り開いてきたのです。  農林水産省では、平成18年に「疏水百選」を選定しました。この百の疏水を選んだのは、優劣を競うものではなく、疏水の存在を一人でも多くの人に知ってもらい、農家だけではなく都市部の人々をも含めた国民全体で疏水を守って、受け継いでいってほしいとの考え方から実施されたと聞き及び、私も大変共感しました。  近隣では、隣の裾野市の深良用水、三島市の源兵衛川が選定されています。本市内においても、手掘りによる多くの用水路、ずいどうがあり、三島の源兵衛川のように、功績のあった方の名をかぶせたであろう「五郎作川」「六郎川」なども存在しています。  一見、豊富にあるよう錯覚してしまう本市の水資源は、実は、先人たちが、血のにじむような労苦を重ね、財を注ぎ込み、水を確保するため疏水してきた暁であることを忘れてはなりません。  事実、現在の印野、玉穂、原里の各地区では、水源が少なく、水田を作れない地域も多く、現在でも、多くのため池があり、電力による用水のポンプアップも行われています。
     富士岡地区でも、200mもの距離を、サイフォンの原理により黄瀬川の下を横断するという貴重な地下用水路もあります。現代のような大型工作機器もない時代に、これらの作業に当たった我々の祖先の労苦を思うに、私は、胸が熱くなることを覚えるものであります。  水利に関するエピソードもいろいろとあり、昭和30年代には、東富士演習場の周辺農業整備事業の一環として、山梨県忍野村から湧き水を本市へ導水し、500ヘクタールもの水田を開田することもほぼ決まりかけていましたが、富士吉田市の猛抗議もあり、頓挫しました。もし完成していたなら、現代の深良用水とも言える規模にもなっていたことでしょう。  また、その昔は、川の上流で各水田への引水のため黄瀬川の水がなくなり、下流の神山の農民たちが、新橋まで、水を川に流すよう抗議に来たこともあると聞いております。いわゆる「堰払い」の要請に押しかけてきたのです。  さて、疏水により、水路を整備した上での開田ですが、戦前にも、いわゆる「五畝田」、500㎡規模のほ場整備が行われた地域もあります。近年は、県営による3反規模のほ場整備も行われています。生産性が格段に向上、機械化も進展し、今日の本市の「こてんばコシヒカリ」に代表される稲作地帯としての確固たる地位を占める礎になっております。  しかしながら、水田は、畑とは違い、水平に整備する必要があります。傾斜地の多い本市では、必然的に畦畔が大きくなり、草刈等への労力は大変な負担となり、担い手農家が規模拡大をためらう要因にもなっています。  また米価は、平成30年からの減反政策廃止後も安定していましたが、最近の統計では政府在庫米もだぶつき、値段が下がっていくと予測されています。  稲作、その他の農作物が今後とも安定的に栽培されるためには、やはり基盤となる農地、用水路をしっかりと管理、維持し、担い手への集積・集約化を視野に、次世代へ継承しなくてはなりません。そして、富士山の見えるこの田園景観、富士の恩恵を受けた湧き水や、水を豊富に利用した農村風景こそが、御殿場の財産であり、全国にも誇れるものであることをしっかり受け止めることが大切であります。  中国の老子は「子孫のために美田を残さず」との故事成語を残しており、私の主張と矛盾するとも思われます。現代では、子孫が怠けてしまうから財産を残すなとの解釈が一般的でございます。  そうしたところ、西郷隆盛が、遺訓の中で「児孫のために美田を買わず」との言葉を残しているのを知りました。西郷の文面は、当然中国の故事成語を意識して作られたことは想像がつきますが、前後の文章からその意味するところは、「自分の子どもに財産を残そうとするな」という教訓ではなく、「志を持ったら覚悟を持って取り組め」ということを伝えるための一節ということです。我々も、覚悟をもって、この御殿場のすばらしい環境を守って継承しなくてはなりません。  以上のようなことを鑑み、4点ほど質問させていただきます。  まず、1点目として、本市の疏水、そして、雄大な田園景観について、当局は、どのような認識でいられるのか、どう評価しているのか、今後の継承も含めて、見解を伺います。  2点目として、各地域でいにしえより行われてきた、住民による疏水の維持、用水路の保全活動が、今後とも引き継がれていくか、私は危惧するところですが、その実態や、市としての支援状況について伺います。  3点目として、市内にある様々な農業用の用水路の整備について、どのような状況であるか伺います。  4点目として、市内でも、昭和の終わり頃から実施された、初期の県営ほ場整備地域は年数がかなり経過しています。そのときは最先端の技術だったと思いますが、用水路、ほ場の状況とも、かなりの不具合があるとの話も耳に入ってきています。そういった箇所の現況はどうなのか伺います。  以上、答弁よろしくお願いいたします。 ○議長(神野義孝君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(沓間信幸君)  それでは大きく4点の質問を頂きましたので、まず1点目の疏水、田園景観への認識についてお答えさせていただきます。  本市の水田で醸し出されるパノラマは、水面に映る逆さ富士、波立つ青田、稲穂を垂れる黄金の田といった季節ごとの情景がそびえ立つ霊峰富士の下で、圧巻な景観を形成しており、人々に感動を与えるものでございます。  そして、このすばらしい眺望により、あぜ際では富士山を背景として、写真を撮るカメラマンの姿もよく見かけるものでございます。  平成22年度には、第3回静岡県景観賞において、仁杉のほ場整備地区が、「富士山と雛壇状の水田風景」と題して優秀賞を受賞するなど、ほ場整備された水田が大きなスケールでの棚田を形成してございます。  また、米のほかに、わさび、水かけ菜なども、富士山の伏流水の恩恵を受け、本市の特産品に育っているとともに、平成30年からスタートした農家民宿も、疏水による清らかな湧き水の流れ、絶好の農村ビュースポットと相まって、都市部の方から好評を得ているところでございます。  これら評価はこれまでの営農活動、用水路の保全、未来を見据えた農地基盤整備への取り組みのたまものであると言えます。  我々の先祖は、手を携えて疏水により水田を切り開き、農業にいそしみ、集落を形成し、農業のみならず、飲用、環境浄化、防火のため、命の水を確保して、不毛の大地を恵みのある農地へ育んでまいりました。  今日では、田園地帯は日本の原風景として、人々に安らぎや懐かしさを感じさせ、心を癒やしてくれるものでありますが、そこに至るまでの経過について、先人たちの労苦を謙虚に受け止め、感謝しなくてはなりません。  近年、農水省においても、将来の持続的な農業の進展を図るべく、「人・農地プラン」と称する取り組みを推進し、現世代が未来の世代へ健全な状態のうちに農業経営を引き継げるよう、地域ごとの営農将来像の具現化を推奨してございます。  農業後継者、新規就農者を確保していくためにも、我々は農地の集積、集約化を推進し、営農環境の保全と維持、さらには機能向上にも努めていかなくてはなりません。  いずれにいたしましても、本市の農業を取り巻く優れた環境は、長年にわたる農業の積み重ねの結果であり、古くからの稲作の盛んな本市にとっては、御殿場の姿そのものであると言えます。言わば御殿場らしさ、まちの品格、誇りを創出していく重要な要素として、疏水、そして田園景観は大きな役割を果たしていると認識をしております。  続きまして、2点目の地域住民による疏水の維持、用水路の保全活動の実態につきましては、各区で定期的に行っていただいている水路内の泥上げ、水田の所有者等が行う草刈りのほか、平成27年度から施行しております、「農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律」に基づき、市の補助金交付要綱により、市が行っている共同活動がございます。  農業・農村は国土の保全、水源のかん養、自然環境の保全、良好な景観の形成等の多面的な機能を有しており、地域の共同活動によって支えられておりますが、近年の農村地域の過疎化、高齢化、混在化等の進行に伴い、集落機能が低下しつつある状況でもございます。  そこで、農用地、水路等の地域資源の保全管理に対する担い手農家の負担を軽減し、地域資源の適切な保全管理を推進するため、同事業により、地域の共同活動に対する支援を行うという趣旨でございます。  内容といたしましては、農地のり面などの草刈り、水路の泥上げ、農道の路面維持等の基礎的保全活動を支援する農地維持支払い交付金と、水路、農道等の質的向上を図る共同活動を支援する資源向上支払い交付金の2つがあり、国の基準に基づき活動内容と活動対象面積に応じて補助金を交付しております。  実績といたしましては、令和元年度の9団体に加え、本年度新たに1団体を認定し、現在10団体が水田、用排水路周辺の草刈りや用水路内の泥上げを実施しており、そのうちの6団体が用排水路、農道等の軽微な補修といった活動を合わせて行うことで、良好な景観の形成と多面的な機能が維持され、適切な機能が発揮されております。  続きまして、3点目の疏水の現状把握と用水路の整備状況につきましては、市内全域の状況を見ますと、先人たちが苦労して掘ったずい道など、経路が不明なものも多く存在し、全ての用排水路を把握できてないのが実情でございます。  さらには、周辺環境の変化により、生活排水として使用している水路や耕作放棄によって使用していない水路など、実態に即してない用水路も増加しているところでございます。  また、大小様々な利用形態や構造の用排水路がございますが、それぞれの地域や農業者個々においては、全てが重要な用排水路ですので、地域からの要望や貴重な情報提供に柔軟に対応できるよう引き続き現状把握に努めてまいります。  次に、農業用用排水路の整備状況につきましては、ほ場整備事業によるもののほか、地域からの要望に基づき順次進めており、平成16年度以降に整備した用排水路につきましては、設置場所、水路幅、延長、水路構造等を工事台帳に記録して、管理をしております。  例年、用排水路等の改修、修繕に係る要望は、年間60件程度上げられておりますが、1件1件現状や過去の経緯などを伺うとともに、現場を確認した上で、緊急性、重要性などを勘案し、優先順位を定め、国・県の補助金等も活用しながら、限られた予算の中で、改修、修繕を年間45件程度実施してございます。  続きまして、4点目の初期のほ場整備地域の現状につきましては、本市で最初の大規模なほ場整備事業は、高根東部県営ほ場整備事業が上げられます。昭和61年から面整備に着手した大堰、六日市場の1・2工区では、整備完了から30年以上が経過しており、用水用パイプラインや各水田への供給口、排水路等に老朽化が見られ、農業者からは不具合の声も寄せられておられますことから、緊急性等を勘案し、適宜補修等の対応をしておりますが、今後ともこうした要望がますます増加するものと考えてございます。  このような状況に加え、当該地域では、用水の不足と水田基盤の不均衡化による再整備などの要望もあることから、平成6年度から整備を開始した高根北部地区県営ほ場整備事業区域と合わせて、高根農業基盤整備事業研究会において、地権者等を対象に、本年度アンケートによる意向調査を実施しているところでございます。今後、このアンケート調査の結果を踏まえて、県とあらゆる可能性について協議を行うこととしております。  以上、お答えとさせていただきます。 ○議長(神野義孝君)  14番 田代耕一議員。 ○14番(田代耕一君)  それでは、再質問をさせていただきます。  1点目の疏水と田園景観ですが、答弁にありました国の進めている「人・農地プラン」についての詳しい説明と、農地集積の実績、数値などについて、本市の取り組み状況について伺います。  3点目の疏水の現状と用水路の整備状況ですが、先ほど、疏水の全ての現状を把握されていないとの答弁でした。後世に引き継ぐためにも積極的に再調査すべきだと思いますが、当局の見解はどのようなものであるか、また、近年の気象は過去とは比較にならないほどの大雨をもたらし、各地で大きな被害を発生させていますが、本市の状況はどうなのか伺います。  4点目の30年ほどたっているほ場整備地域については、芳しくない状況も分かりました。早期に具体的な再整備方法を検討しないと、年数もかかるでしょうから、このままでは耕作放棄に結びつく可能性は十分にあります。改田なのに水が来ない、田植機が突っこんでしまい動かないでは、誰も借りてくれません。  高根地区の意見集約が出来上がってからどれぐらいで工事の着工ができるのか、当局の見解を伺います。  以上、3点、よろしくお願いします。 ○議長(神野義孝君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(沓間信幸君)  それではお答えします。  1点目の「人・農地プラン」の状況についてお答えします。  国は、平成25年度に、10年後に全国の農地の8割を担い手に集積するという目標を立て、現在は折り返しを過ぎた時点であります。この目標の達成と担い手の確保と農地の有効活用を一体的に行う手段として、農水省は、「人・農地プラン」という取り組みを推進し、昨年度からは同プランの実質化と称して、てこ入れも図っているところでございます。  農業委員会の上部組織である県農業会議では、同プランを「今耕されている農地を耕せるうちに耕せる人へ」というスローガンで推進しておりますが、具体的には部農会やほ場整備の区域ごとに、今後の営農意欲、農地利用状況、後継者の有無などを勘案して、アンケート、話合い、営農状況の地図化を行い、担い手を明確にして、農地の有効活用を地域で考えていくものでございます。  本市では、昨年度、同プランに沿ってワイン用ブドウ栽培を行っている神山兎島地区の地権者と会合を実施しましたが、今後は高根地区を中心としたほ場整備実施区域へ注力して、農地の集積・集約化を図っていく予定でございます。  また、市内に50人余りいる農業経営基盤強化推進法に基づく認定農業者とも連携、協調して、同プランの取り組みを進めてまいります。  次に、農地8割を担い手に集積するとの定義でございますが、農地の売買や貸し借り、特に農地バンク事業による公的機関を通じての賃借を推進して、認定農業者や農業法人、集団営農組織などといった担い手の方に全農地の80%を営農してもらうというものでございます。  現時点での集積率は、全国で57%、静岡県は39%、本市は18%となっております。都道府県別では北海道は91%、米どころ新潟が64%、隣接の神奈川県は24%となっておりますが、本市の集積率が低いのは、基幹作物である水稲栽培が水の管理や畦畔のり面の草刈りの負担もあり、田植、稲刈りなどの部分的作業に特化した受委託が進んでいる結果であり、先祖伝来の土地を自ら耕作したいという意識も働いていると分析をしているところでございます。  続きまして、2点目の疏水の再調整につきましては、農業関係者から寄せられる声からも、その必要性について十分認識をしております。そこで、用排水路等を利用されている水利関係者の皆様には、日常管理に加え、不具合や老朽化による破損等が生じた際には、遠慮なく修繕要望や情報提供をお願いし、再調査の一環として御協力をいただいたところでございます。それにより、現状把握に対する大きな成果につながっているものと考えてございます。  次に、近年の大雨等による被害は、昨年の台風19号、今年6月から7月にかけての長雨により、全国各地で甚大な被害がございました。本市でも水路への土砂の流入や、一部の水路から水があふれるなどの状況は見られましたが、地域の皆様による河川からの取水口部の堰を払うなど、適切な管理の御協力により、最小限で抑えられております。  今後も引き続き、地域住民の皆様に用排水路の適切な日常の維持管理をお願いするとともに、地元からの要望等を基に、効果的な改修、修繕などの対応を心がけてまいります。  続きまして、3点目のほ場整備地域の具体的な再整備計画につきましては、当初にほ場整備事業によって整備された高根東部、高根北部地区を対象に、施設等の不具合の有無、水田の再集積の必要性、今後の営農移行など、詳細なアンケート調査を実施し、その調査結果を踏まえ、地元ニーズの集約を図った上で、県との協議を行ってまいります。  具体的な整備の手法といたしましては、従前と同様の区域、あるいは隣接地を加えた区域において、水田等の再集積や区画形質の変更、用排水路の再整備などを行う場合には、県が事業主体となって実施する県営事業が想定されます。  また、老朽化した用排水路やパイプラインの改修のみを行うなどの場合は、市が事業主体となって、県の補助金を活用し、実施する県単補助事業などが想定されます。このように幾つかの整備手法に加え、県単補助事業には様々な補助メニューがございますので、県との事前協議において、まずは対象地域の意見を集約することが必要となります。  アンケート調査などによる意見集約が完了した後に、地域として求める整備内容を明確にし、地元のニーズに見合った効果的な整備手法等を県と調整して決定し、具体的な再整備計画の作成を行う流れで進めることとなります。  事業内容にもよりますが、仮に意見集約が1年で完了した場合、補助金を含めた県との協議、再整備計画の作成などが順調に進みますと、最短で4年程度にて工事着手できると想定されます。  以上、お答えとさせていただきます。 ○議長(神野義孝君)  14番 田代耕一議員。 ○14番(田代耕一君)  それでは、再々質問させていただきます。  初めに、1点目の疏水と田園景観の再質問において、本市の傾斜地の特性により、水田畦畔の管理が大きな負担になっているとの答弁がありました。私の住んでいる中丸の部農会においては、センチピートグラスという芝を5年間で畦畔のり面に植栽して、草刈り作業の低減を進めながら、センチピートによる耕作地の景観もよくしていこうという機運が高まっております。  今後、農地の貸し借りにも影響すると思いますが、畦畔管理低減に向けた方策について伺います。  次に、3点目の疏水の現状についての関連の質問です。  疏水により営農が発展してきたことについて、ぜひ小中学校へも学習する機会を設けていただき、本市の稲作を中心とした農業に対する理解を深めていただきたいと思いますが、当局の見解を伺います。 ○議長(神野義孝君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(沓間信幸君)  それではお答えします。  まず、1点目の水田の畦畔及びのり面管理の低減でございますが、中山間地である本市は、水田全体の面積のうち、畦畔は7.6%を占め、静岡県平均の4.3%を大きく上回っております。草刈り作業は年間5回から10回近くに及び、斜面での草刈りは大きな負担となり、経営規模拡大の妨げになっております。  議員御指摘のセンチピートグラスにおいては、現在、本市のほか、県、小山町、農協が参画する北駿農業振興協議会においても試験栽培を行い、その効果の実証実験を進めているところでございます。  ほ場整備実施後の新しい畦畔は、種子の吹きつけをすることにより、芝が根を張って畦畔を保護し、かつ成長が緩やかなため、年間の草刈りは2~3回に減らすことができます。既存の畦畔へは除草処理後にマット状となった芝生を貼り付けることにより、雑草との成長競争も対応できる見込みでありますが、作業には多くの労力が必要であることから、推進体制確立を含めて研究が引き続き行ってまいります。  また、水田における賃借においては、畦畔管理において貸手、借手の条件の統一が必要と思われます。例えば水田周りのあぜ際の草刈りの分担について条件を明確にすることにより、「人・農地プラン」の推進にもつながりますので、農作業受託農家、農協、部農会とも今後検討を重ねてまいりたいと考えております。  続きまして、2点目の小中学生への疏水に関する学習についてでございますが、本市教育委員会では、教員の方が独自に「ふるさと御殿場」という、小学校中学年を対象とした社会科の副読本を作成したり、多くの小学校でも田植や収穫の体験を行ったりと、地域の歴史、産業などについて学習機会も重視しております。  御殿場の稲作がどのように発展してきたかを理解する上で、我々の先祖が生きるため、米を作るために水路づくりに多大な労力をかけてきたことや、水は高いところから低いところにしか流れないという自然の制約を克服して改善してきた知恵を、児童生徒へもしっかりと伝承することは大変有意義であり、継承すべき地域の歴史の一つであります。  このような地域農業の学習を行うことにより、農業に携わってみたいという子どもが増え、今後の後継者の創出、農業の活性化にもつながると思いますので、市の農業部門と教育委員会もしっかりと連携を図ってまいります。  以上、お答えとさせていただきます。  (「期待して終わります。」と田代耕一君) ○議長(神野義孝君)  以上で、14番 田代耕一議員の質問は終了いたしました。  次に、9番 菅沼芳德議員の質問を許します。  9番 菅沼芳德議員。 ○9番(菅沼芳德君)  私は、「コロナ禍後を見据えた農業施策について」、一括質問一括答弁の方式で一般質問を行います。  新型コロナウイルス感染症が終息する気配を見せない中、農業への影響もじわじわ広がっております。また、追い打ちをかけるように、特に今年は梅雨入り直後からの悪天候が続き、長雨、強風などにより、農産物の生育に多大な影響が出てしまいました。  本市では、感染拡大防止策としていち早く、市独自の感染対策事業を進め、本市の後を追うように国及び県が経済対策を打ち出ましたが、政府の施策に関しては国民の支持を得ているとは思われません。というのも諸外国は、いち早くGDPの10%や20%前後の政府支出の拡大を決定し、失業者や所得が減った労働者、売上げを失った法人・商店に対して、所得や売上げを徹底的に保障していく方針を打ち出しているのに対して、日本はそういう方針を全く打ち出していないからで、幾ら200兆円以上の対策費の計上をしたといっても、新規の国債発行等に基づく真水の対策費は、補正予算によりようやく実質61兆円、GDP比に対して11%に届いたという水準だからということです。
     この新型コロナウイルスによるパンデミックが、南半球へ、そして途上国へと拡大を見せています。我が国では、今後第2波、第3波も予想されているところです。事実、8月に入ってからは、当市においても県内で8例目のクラスターが確認されたところです。  世界中でパンデミックが拡大し、健康被害とともに経済的被害も拡大してしまうと、その帰結として複数の国では経済活動を停止する中で、食料もまた大きく生産量が低下し、自国民優先のために農産物輸出規制が行われ、日本向け輸出はカットされることは必至であります。食糧危機が新型コロナの発生拡大を契機に、行き過ぎたグローバル経済の帰結としていつ起こるや知れない状況にあるとの警鐘を鳴らす経済アナリストもおります。  そこで、内需を喚起する思い切った経済対策と同時に食糧危機への備えも喫緊の課題となっております。食料の安定供給の確保(食糧自給率45%への引上げ)のために国・県・市は全力を挙げて農業施策に取り組まなければならない時期と考えております。このことが、国連の「家族農業10年」や、貧困や気候変動などを背景にしたSDGsなどの新たな国際的潮流にもかなうものだと思いますし、農業・農村に関わっては、次のような期待が語られ始めています。  1つは、東京一極集中構造に対する国民的な危機意識により、低密度の地方圏が再評価され、さらに分散型の国土形成が志向されるということ。2つには、マスク不足の経験から、主食をはじめとした生存のための戦略的物資の国内供給の重要性が再認識されるというものであります。食料の自給率向上への国民的意識が高まるだろうと言われています。  このように今後の大きな国民的期待を背負った農家は「3密」とは対極の田畑で、日々地道に働いて、食べ物を作り出しております。そこには地に足を付けた暮らしの強さ、確かさがあります。この「農家力」のさらなる向上、維持が、この大変な時期に国にとっても地域にとっても大変大きな力となると思います。  そして、ウイルスとは決して戦う「敵」ではなく、長い目で見れば共存、共生する相手であるということを再度認識した上で、ウイズコロナ時代をどう農業は共生していったらいいのか、新型コロナで分かった「都会暮らしの危うさ」、逆を言うと、新型コロナで分かった「田舎暮らしの強さ、確かさ」を実践している農業・農家に対して行政の取り組む方策について一般質問するものです。  そこで、まず今回の新型ウイルス感染症拡大によって影響を受けた、この地域の力となり得る農家に対しての、1つ目、感染拡大による本市農業への影響と行政の支援策について、また2つ目、コロナ騒動真っただ中の3月31日に閣議決定した新たな国の「食料・農業・農村基本計画」とそれに基づく本市の農業施策について、及び3つ目として、コロナ禍後を見据えた本市農業の持続的発展に向けた取り組みについて、この大きく3点について伺います。  まず、1つ目の行政の感染拡大による本市農業への影響と農家への支援についてですが、特に、当地の主要産物であるごてんばコシヒカリへの販売の影響や、ファーマーズマーケットを中心とした野菜、特産品のわさびなどに及ぼす影響について伺います。  また、それら影響への対応として、先にJA御殿場では、感染症対策という名目ではありませんが、天候不順による農作物緊急支援を実施して、直接農家支援をいたしました。名目はともあれ、受ける農家にはタイムリーで迅速な支援であったと思います。本市及び県・国においても様々な支援策が農業においても該当すると思われますが、具体的な支援策、内容、相談、申請件数について伺います。  次に、2つ目として、新たな国の「食料・農業・農村基本計画」とそれに基づく本市の農業施策についてですが、特にこの基本計画は、農政の方向を規定する基本法に基づく重要な計画ですが、そのままでは形骸化するおそれがあります。地域の創意が反映した計画として、しっかりと農家、地域の力にしなければ、絵に描いた餅に終わってしまいます。  そこでまず、この基本計画についての本市の認識についてですが、これは平成11年に制定された「食料・農業・農村基本法」に基づいて平成12年に当初計画が作成され、今回で4回目の改定が、まさにコロナ騒動の真っただ中の3月31日に閣議決定したものでありますが、この中身は従来から国のとってきた「農業の成長産業化」路線は併記されているものの、それよりも食料の安定供給の確保、多面的機能の発揮、中小・家族経営など多様な経営による農業の持続的な発展、田園回帰を生かした地域の担い手形成、中山間地域などの振興や都市と農村の交流などの施策が、全国の地方自治体、農協、生協の働きかけにより盛り込まれたということが今回の大きな特徴であり、重要な点だと認識するからです。これは従来の過度に農業の生産性ばかりに重点を置き、大規模化経営体の育成を目指した政策からの転換だと捉えて、評価もし、期待するところですが、本市の農業施策の展開においてどう評価、展開していくのか伺います。  3つ目として、当市の農業の持続的発展に向けた取り組みについて伺います。  当市では、ごてんばコシヒカリの食味向上に長年取り組み、その努力の結果、県内外の各米コンテストで入賞するなど、毎年実績を積み上げてきており、ブランドとしての地位を確立しつつあることは喜ばしいことでありますが、全国的に米ブランドの競争が激化し、消費の停滞もあり、米作農家としては一段と厳しい経営状況にあります。  そこで、このごてんばコシヒカリに代わる新たな作物の産地化が求められ、JA御殿場では、サツマイモ、ゴーヤ、キウイフルーツ、トウモロコシなど精力的に取り組んでいるところですが、収穫量、品質など、天候やほ場条件などに左右されることがあり産地化し、持続的に発展していくには課題があります。これらの現状の分析と当市農業施策について伺うものです。  以上、3点、答弁をよろしくお願いいたします。 ○議長(神野義孝君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(沓間信幸君)  それでは大きく3点の御質問を頂きましたので、最初に、1点目の新型コロナウイルス感染症拡大に伴う農業への支援についてお答えさせていただきます。  まず、感染症拡大による本市農業への影響でございますが、御殿場農協によりますと、基幹品目である米の小売り販売は堅調であるものの、外食・宿泊施設などの需要は落ち込んでおり、例年に比べ、全体として売上げペースが鈍化しているとのことでございます。  また、全国的には、高級食材が大きく影響を受けるとともに、外食産業や学校給食に大口で出荷している野菜農家も出荷できない状態が続いたとの報道もございました。  本市では、わさび、牛肉、花きに影響があり、特にわさびは一時的な出荷停止、単価も例年の半額まで落ち込んだりしましたが、現在は回復傾向にあるとのことでございます。  次に、8月末時点での、具体的な支援策の内容・件数について申し上げます。  本市独自施策である「持続可能支援事業」は、既に申請期限は終了しましたが、わさび農家、施設園芸農家などから7件の申請があり、他自治体に先駆けた支援対応は、評価を受けているところでございます。  また、国は農業に特化した支援策といたしまして、2つの支援を行っております。  1つ目は「経営継続補助金」で、感染症の影響を克服するため、感染拡大防止対策の措置、または経営維持のための設備導入などの対策を行った場合、最大150万円の補助がございます。  2つ目は「高収益作物次期作支援交付金」というもので、野菜などの高収益作物で売上げ減少等の影響を受けた場合、次期、つまり令和3年産も継続的に作付する農業者が各種取り組みを行う場合、基本単価として10アール当たり5万円を交付するものでございます。現時点で「経営継続補助金」が18件、「高収益作物次期作支援交付金」が32件の申請があり、一旦申請の締切りをしましたが、再度申請の募集を行う予定であり、申請受付は、農協と御殿場市が窓口となっております。  以上の3つが、本市に係る主な支援事業でございます。  続きまして2点目、「食料・農業・農村基本計画」についてお答えします。  本計画は、向こう10年を見据え、政府が総合的かつ計画的に講じる農業施策等をまとめたものであり、先月上旬には、WEB会議にて静岡県、農水省の担当による詳しい説明会も開かれました。本計画は、引き続き農業の成長産業化を促進する産業政策と、多面的機能の向上を図る地域政策の2つを柱とし、将来にわたって国民生活に不可欠な食料を安定的に供給することを基本的な方針としています。  特に、食糧自給率の低下に強い危機感を持っており、現在のカロリーベースの食糧自給率37%を、10年後には45%とする目標を掲げてございます。また、日本の中山間地域の人口が全体の約1割にもかかわらず、農家数、耕地面積、農業産出額は、この地域が約4割を占めているのが現状でございます。これまでの規模拡大、担い手を重視した政策から、各地域で農業を下支えしている中小・家族経営農家への支援することに加え、農村地域に関して他の関係府省との連携も視野に振興を重視しております。  さらに、家族的な経営でも他の産業並みの所得を確保できるよう各種の営農経営モデルや、兼業的農業を営む方策について例示するなど具体性を確保しており、兼業農家が約9割を占める本市にとっては、関心の高い内容となってございます。これまでの担い手集中の支援からの揺り戻しとして、多様な経営体へもバックアップする方針修正とも言えます。今後の国の詳細な事業、助成内容に着目し、本市の農業関連施策の充実を図ってまいりたいと考えております。  続きまして、3点目の農業の持続的発展に向けた取り組みについてお答えします。  本市の農業産出額は、年間24億円前後と推計しておりますが、そのうち約4割に当たる9億円ほどが米でございます。県内の市町の中で、米が産出額のトップを占めるのは、本市と小山町のみです。  また、農業産出額の県内順位は、35市町中20位であり、他市町は、野菜、お茶、果実などが産出額1位であることから、米以外の農産物振興を図ることが必要と思われます。  以上のことから、本市では、個別の農家や農業法人での名産品はありますが、水稲、水かけ菜に次ぐ、産地化された特産品の開発が望まれるところでございます。産地化というのは、多数の農家が同じ規格、品質のものを一定量、栽培・収穫を行うものであり、農協では、サツマイモ、トウモロコシ、ゴーヤ、キウイフルーツを振興作物と位置づけ、試験、作付を行っております。  ところが、今年は梅雨の長雨により、トウモロコシの収量が計画の10分の1、前年度比13.7%にとどまるという大きな被害を受けております。本市の場合、ほとんどの畑作が水田からの転作田で行われており、改めて近年の気象に配慮した排水対策が重要であると痛感しているところでございます。そうしたところ、サツマイモの生産、加工に手応えを感じており、「紅はるか」というしっとりとして甘みのある品種の干し芋が評価を得ています。  今後は、栽培のみならず、いわゆる6次産業化も視野に、他の産地との差別化を図り、富士山育ちとして特徴のある高原野菜などの名産品ができるよう努めてまいります。  また、イチゴのハウス栽培や、自然薯の栽培に取り組む意欲的な農業経営体グループも現れてきています。本市の農地も標高が200mから600m台にあり、裾野市境ではかんきつ類もできます。意欲のある農業者や関係機関と連携し、あらゆる可能性に挑戦し、農業の持続的発展に取り組みたいと考えております。  以上、お答えとさせていただきます。 ○議長(神野義孝君)  9番 菅沼芳德議員。 ○9番(菅沼芳德君)  それでは、再質問します。  1つ目の本市農業への影響についてはJA関係の販売、ファーマーズにおける販売実績など大幅な影響を及ぼしてはいないという点については理解し、安堵したところでございます。しかし、外食、贈答用など高単価のわさび、花き、牛肉など落ち込みのある生産販売者もいるとのことですから、引き続き、国の補助金や交付金の再度申請受付に関する農家へのPRや助言など、JA窓口を行政が積極的にバックアップしていっていただきたいというふうに思います。  また、この新型コロナの影響についてですが、JAを中心とした農業者への影響は了解しましたが、以前に私が一般質問で取り上げました板妻の解放団地に進出した楽天傘下の農業法人ですが、この法人の進出により、多くの地権者が、半ば耕作放棄地となっていた農地が、高原野菜を中心とした本来の農地に生まれ変わるものとして期待しているところでございますが、今回のコロナの影響で、これらの農業経営上の変化や影響など、現状を伺います。また、他の法人の本市への進出影響についても合わせてお願いいたします。  2つ目に関しましての再質問ですが、新計画は「田園回帰を生かした地域の担い手形成、中山間地域などの振興や都市と農村の交流などの政策」を盛り込んでおり、農村振興を重視しているとのことですが、最近では「定住人口」、「交流人口」はもちろんですが、次段過程としてよく耳にする「関係人口」の創出についての視点は、本市のグリーン・ツーリズムとも 関係すると思いますが、当局の見解について伺います。  併せて、昨年度、山北町と包括連携協定を締結したJA御殿場は、かながわ西湘農協の育苗生産の委託を受けたり、ファーマーズマーケットで神奈川の農産物の販売もしているということです。また、今後、神奈川県西部地域との県境を越えた関係創出による農業振興への考え方は、どのように持っているか伺います。  3つ目、第3問に関しましての再質問ですけども、ごてんばコシヒカリはもちろんのこと、それに代わる産地化できる振興作物に関してですが、回答にもありましたように作付ほ場が水田から畑への転作田であり、排水が思うに任せないなど抜本的な排水対策が必要と考えますが、この点について当局の見解を伺います。  また標高差が大きいという立地条件もあって、JAでも試行錯誤していることは理解できます。以前は、御殿場高校の隣に静岡県農業試験場の高冷地分場も存在し、この地域に適した農業生産技術に寄与してきた歴史もあります。この高冷地農業対策については、最近手にしたJA御殿場の広報誌「あぐりーん」8月号で、ファーマーズ御殿場の優秀出荷者の表彰者インタビュー記事が目にとまりました。その中で新橋の鈴木さん、深沢の小林さん、永塚の勝亦さんのお三方が口をそろえて期待することとして、「管内に適した作物の栽培・研究、そして実践指導をJAに望んでおります。」と答えておられます。この真の生産者の生の声に応えて、JAのマンパワーはもちろんのことですが、ここは、市・県の行政が全面的に技術指導などマンパワーをJAと一体となって発揮すべきと思いますが、当局の見解を伺います。  以上、3点、よろしくお願いいたします。 ○議長(神野義孝君)  産業スポーツ部長。 ○産業スポーツ部長(沓間信幸君)  それでは、3点再質問を頂きましたので、順次お答えさせていただきます。  1点目の板妻の開放農地に進出した農業法人の状況でございますが、昨年度、板妻舟久保地区に22ヘクタール余の農地を借り上げるとともに、今年度4月からは、印野トウジゴヤ地区の農地17ヘクタール余を借り上げ、合計約39ヘクタールとなり、実に市の農地面積の2.1%を占める面積を確保してございます。  さらに、同農業法人は、伊豆の国市、伊豆市にも農地を約14ヘクタール賃借してございます。  また、本市に野菜カット工場を新設する計画につきましては、新型コロナ感染症拡大の影響を受け、当面事業を見合せるとの報告を受けたところでございます。当初は、レタスなどのサラダ用カット野菜を栽培し、首都圏にて販売する計画でしたが、現在は、有機栽培にてブロッコリー、ホウレンソウなどの冷凍野菜に適した作物の生産に切り替え、愛媛県の本社工場ヘトラック輸送してございます。  また、板妻の農地隣接地には、収穫物を一次貯蔵するコンテナ倉庫を設置するなど、コロナ禍収束後を見据えて、今後の事業計画の新たな展開も図っていくとのことですので、本市としても、引き続き支援をしてまいります。  同法人の農業体制としましては、従事者二、三十名で本市と伊豆地域を効果的に行き来して営農を行っております。これは、自然災害へのリスク分散も考慮するとともに、標高差を利用して播種・収穫の時期をずらすことにより、農作業の負担を平準化し、効率的な規模拡大に対応していくためであります。  一方、全体的な農業法人の動向でございますが、これまで、幾つかの会社・団体組織からも、本市への進出について相談を受けており、昨年度末には県西部農林事務所の紹介で、浜松方面の農業法人数社が市内の農地の状況を見学に来て案内もさせていただいたところでございます。その後、コロナ禍により、現在様子見の状況となっておりますので、情勢が好転次第、しっかりと対応してまいります。  このように、首都圏からの近さ、標高差を生かす栽培、水・空気・環境を考えると、本市の地理的な強み、自然環境のすばらしさを改めて実感しているところでございます。引き続き、農業法人の動向を注視し、本市への誘致、PRに努めていきたいと考えております。  続きまして、2点目の農村振興と関係人口創出についてお答えします。  本市は、富士の麓に位置し、首都圏からの近さもあり、戦前より別荘地として栄え、研修施設も多数存在しており、もともと関係人口創出の素地は十分にあると言えます。  昨年度、市内でグランピングを経営している会社から、体験型農業をメニューとして加えたいとの相談があり、富士山の眺望もよい遊休農地約3,000㎡を紹介し、農地の再生、農業指導員の雇用にもつながっていく事例がありました。  こうしたクラインガルデンといわれる滞在型市民農園は全国的に増加しており、農家民宿を含めたグリーン・ツーリズム推進により関係人口が創出され、農村・農業振興にもつながるものと認識をしております。  一方、神奈川県西部との連携でございますが、関係人口創出を目的とした山北町との包括連携協定の際には、それぞれの特産農産物を交換し、山北町へごてんばコシヒカリと水かけ菜漬を送りましたが、コロナ禍収束後は、両市町の農業を含めた産業面の交流を推進していく予定であります。  本市は、江戸時代は小田原藩にあるとともに、現在も御殿場線が地域を結んでおります。地域の連携が関係人口の創出を生み、お互い特徴ある農産物の流通をもたらし、農業生産のプラス効果へ結びつくものと言えます。既に農協同士では深い結びつきがあるとのことですので、県域を超えた自治体間の連携による農業振興を大いに期待するものであります。  続きまして、3点目の転作田の排水対策、行政のマンパワーについてお答えさせていただきます。  本市でのトウモロコシ、麦などの栽培は、転作田で栽培割合が多く、耕作土、いわゆる「つくり」の深さが畑地としては浅く、かつ、その下の基盤土、いわゆる「まさ」の部分は水田として水が抜けにくいように固められており、どうしても畑作としては不向きな面があります。  対策といたしましては、暗渠排水、溝切り、客土、基盤土の掘り返しが考えられますが、水田への復田、作業の容易さも考慮すると、溝切りが最善の対策と言えます。排水対策の重要性は、各農家も承知していることでありますが、高い畝立て、ほ場からの出水処理なども組み合わせ、効果的な転作作物が生育できるよう推進してまいります。  次に、行政の技術指導につきましては、農業改良助長法に基づき、県が負うところが大きく、東部農林事務所に在籍し、農業技術と知識を有する普及指導員の指導を受けております。  議員から御指摘のありました農業試験場高冷地分場廃止に伴い、県は北駿農業振興協議会を組織し、本市もその一員として北駿地域に合った農業生産の研究・検討に努めているところであります。  また、市としましては、農業技師としての職員採用はしておりませんが、農業経験を配慮した職員配置、研修等による知識・能力の形成により、農業部門全体としてのスキルアップを図っているところでございます。  いずれにいたしましても、各農家の生産支援に多く関わっている農協、そして東部農林事務所と引き続き一体となって、高冷地に適した農業生産の指導に努めてまいります。  以上、お答えとさせていただきます。 ○議長(神野義孝君)  9番 菅沼芳德議員。 ○9番(菅沼芳德君)  それでは、最後に市長に伺いたいと思います。  農業環境は大きく変動するとともに、国は新計画に基づき農業政策の拡充を図っております。しかしながら、本市は高冷地で日照量も少なく、雨が多い、降雪もあるなどハンディもあります。サツマイモを例にしますと、名産地となっている三島市とでは、味を左右する日照量、土質はもとより、収穫時期、生産農家数を比べても真っ向勝負は難しいと言えます。それでも地元農業者は、富士山とその恵みの水から、日本一の環境をアドバンテージとして、先ほどのお三方に代表されるように「農家力」を十分に発揮し頑張っております。  先ほど、6次産業化との答弁もありましたが、今後、本市の農業が持続的発展するために、市長の農業ビジョンについてお聞かせを願います。  以上、よろしくお願いします。 ○議長(神野義孝君)  市長。 ○市長(若林洋平君)  それでは、ただいまの菅沼議員の御質問に対しまして、私の方からお答えをさせていただきます。  昨年度、農業に関する件で静岡県庁を訪れた際、川勝知事のほうから「御殿場は、日本一の富士の麓にあり、皇室とも縁が深く、清潔感、高級感がある」そういった言葉を頂きました。当市の営農条件は、有利な面、不利な面それぞれありますが、知事の言葉の延長線上にある「ブランド力を生かした高付加価値化」これが本市の目指すべき方向と言えるのではないでしょうか。御殿場のブランディングを推し進めることが、農業を含め、あらゆる産業で重視すべきことと考えております。  去る7月から「富士山茶ビール」を酒販売団体、市内ビール会社と協力して生産をいたしました。地元の「やぶきた茶」を使用し、特徴的なラベルをデザインしたため、市内飲食店はもとより、箱根のホテルでも取り扱われるなど好評を得ております。使用される麦は欧州産でありましたが、次回は転作作物として市内で栽培している麦を使えないかという話にもつながり、話題性の高かった事柄が、地元農産物の有効な活用にも波及する内容となりました。ちなみに、この「富士山茶ビール」本当に大好評で、先日、第1弾の1万本があっという間に完売したとのことであります。  当然、農政は、生育調査、防除対策、農地管理などの地道な業務もありますし、産地化には農協をはじめといたします関係機関との密接な連携が必要でございます。これを踏まえた上で、話題づくりへも積極的にアプローチをし、市民の方には地元農産物に愛着を持っていただけるよう取り組むとともに、市外の方には、御殿場ブランドとして選んでもらえるような農産物づくりを推進していきたいと考えております。  今回の新型コロナ感染症の発生において、議員が御指摘のとおり、まさに大都市一極集中の是正は待ったなし、そして何より食料危機、これも待ったなしであるということが強烈に浮き彫りになったと、私はそういう認識をしております。  医療物資が全く手に入らなくなったことは周知の事実であり、これが食料であったとしたらと考えると、ぞっとするところであります。だからこその環境に特化したまちづくりであり、その一つに農業は欠かせないものと認識しており、御殿場市の大きな役割だとも考えております。  このようなことからも、若手農家が引き続きさらに輝ける地域、持続可能な農業を展開できる地域となるよう、力強く農業行政を推進してまいります。  以上、答弁とさせていただきます。  (「終わります。」と菅沼芳德君) ○議長(神野義孝君)  以上で、9番 菅沼芳德議員の質問は終了いたしました。 ○議長(神野義孝君)  この際、午後1時まで休憩いたします。
                               午後0時04分 ○議長(神野義孝君)  休憩前に引き続き会議を開きます。                            午後1時00分 ○議長(神野義孝君)  日程第1 「一般質問」を継続いたします。  1番 阿久根真一議員の質問を許します。  1番 阿久根真一議員。 ○1番(阿久根真一君)  それでは通告に従い一般質問いたします。質問内容は「交通弱者支援事業の現状と市内公共交通機関のビジョンについて」であります。  現在御殿場市には3万5,000世帯の市民が在住しておりその自家用車の所有台数は約8万台となっていることから単純計算では1世帯で2台以上の車を保有するまさに車社会となっております。  しかしながら、近年では高齢化が進むに連れ、いわゆる「交通弱者」となる市民が増えてきており、また税収増が困難な時代において、公共交通機関として行政が担う事業にも限界があることから、新たな公共交通手段の構築が必要とされる時代となっています。  ここ数年では国土交通省として新モビリティサービス推進事業の展開がされており、それを受け、多くの自治体において具現化に向けた実証実験などが行われており、既に実用化されている自治体も出てきました。  本市もそれに遅れをとることなく、このコロナ禍の後に期待されるインバウンドを中心とした観光客や、高齢化社会に向けた新たな交通インフラ網の構築が必要となってきているのではないでしょうか。  そこで1点目の質問となります。  現在の市内公共交通インフラ事業に対して、当局としてはどのような調査の上で市民満足度や充足度を捉えているのか伺います。 ○議長(神野義孝君)  企画部長。 ○企画部長(井上仁士君)  お答えいたします。  まず、公共交通の現在の利用状況ですが、第四次御殿場市総合計画においては、成果指標として、路線バスの年間利用者数について平成31年度(令和元年度)に70万人という目標値を掲げておりましたが、バス事業者からの報告に基づく実績として昨年度は85万1,322人の利用がございました。これは前年度比で約7万人と大きな増加でございました。  また、鉄道に関しましては、JR御殿場駅の1日平均乗降客数について、目標値1万人に対して、JR東海の直近のデータでは、平成30年度で9,762人となっており、前年度から微増しております。  こうした公共交通の利用状況に対する市民満足度ですが、後期基本計画策定に際して昨年6月に実施した市民満足度調査では、2.5が中央値、つまり真ん中として評価される満足度で2.38となっており、前回平成28年度の2.37とほぼ同じでございました。  本市は市域が広く、居住地域も分散しておりますことから、公共交通、特にバス交通に関しては、なかなか満足度が得られない傾向にあると分析しております。今後も事業者と連携しながら、公共交通の維持・改善のため、着実に取り組みを行ってまいります。  以上でございます。 ○議長(神野義孝君)  1番 阿久根真一議員。 ○1番(阿久根真一君)  再質問いたします。  答弁にもありましたが、平成28年度当時から、交通弱者はもとより多くの市民は市内公共交通機関利用に関し「不満を感じている」との回答がなされています。この結果を受け、当局としてはこれまでどのような施策を実施されてきたのか伺います。 ○議長(神野義孝君)  企画部長。 ○企画部長(井上仁士君)  お答えいたします。  当局としましては、当時この結果をしっかりと受け止め、基幹的な公共交通機関である路線バスによる移動に加えて、ドアtoドアの移動へのニーズが高いものと分析し、こうした移動を支援していくことが必要と捉えて、平成28年12月より、高齢者等交通弱者の移動を支援するタクシー・バス利用助成制度を開始し、今日に至っております。  また、公共交通の利用促進を図るため、平成28年4月に策定された御殿場市地域公共交通網形成計画に基づき、バス路線網図や沿線の施設等を掲載した「御殿場市地域公共交通マップ」を29年度に作成するなど、事業者との連携により利用者の利便性向上に取り組んでおります。  さらに昨年度は、御殿場駅箱根乙女口広場の拡張を踏まえ、事業者との協議により、新規バス路線「東田中線」を開設しております。  これらの取り組みにより、冒頭でも触れましたが、昨年度は前年度比約7万人の増加となったものでございます。  以上でございます。 ○議長(神野義孝君)  1番 阿久根真一議員。 ○1番(阿久根真一君)  これまで実施された施策や、交流人口の増加もあり、昨年度については、総合的にバス利用者の増加として大きな成果が現れたのだと理解しました。  次に、2点目の質問です。  高齢者等交通弱者への施策についてですが、平成28年末に高齢者等タクシー及びバス利用料金事業として、対象者への助成券交付が始まり、同時に地域公共交通網形成計画に基づき「交通弱者に対する移動実態の把握と分析を進める」とありました。そこで、この3年間における調査方法と把握できたことにつき伺います。 ○議長(神野義孝君)  企画部長。 ○企画部長(井上仁士君)  お答えいたします。  高齢者等タクシー・バス利用料金助成事業の利用状況についてですが、市から対象者への助成券交付実績に加えて、タクシー・バス事業者より毎月、前月の利用枚数が報告されますので、これらの集計でございます。  平成29年度は1,182名に対して9万6,671枚を交付し、利用枚数8万893枚、利用率は83.7%でございました。平成30年度は1,371名に対して11万9,243枚を交付し、利用枚数10万684枚、利用率は84.4%でした。令和元年度は1,504名に対して14万2,053枚を交付し、利用枚数11万6,600枚、利用率は82.1%でした。  対象者数は30年度は前年度比15.9%増、令和元年度も9.7%増加しており、高齢者の増加に加えて、事業の認知度向上により、増加していると捉えております。  また、バス・タクシーそれぞれの利用割合ですが、平成29年度はタクシー75.9%、バス19.6%、介護タクシー4.5%でしたが、令和元年度ではタクシーが80.6%、バスが15.2%、介護タクシーが4.2%となっており、タクシーの利用割合が多くなってきております。  地域別の偏りに関してですが、高齢者等タクシー及びバス利用料金助成事業の対象者は地区別人口割合にほぼ等しく、特に目立った偏りは見られません。  以上でございます。 ○議長(神野義孝君)  1番 阿久根真一議員。 ○1番(阿久根真一君)  再質問いたします。  タクシーの利用割合が全体の約8割ということで、やはりコスト高でもドアtoドアの利便性を選んでいるという結果と考えます。  しかしながら、直近のデータによれば「全体の約18%の助成券は消化しきれていない」という事実も踏まえ、当局としては本事業をどのように評価しているのか伺います。 ○議長(神野義孝君)  企画部長。 ○企画部長(井上仁士君)  お答えいたします。  助成券の利用率は過年度いずれも80%以上であり、通院や買物など生活に必要な交通利用の一助として多くの方々にお使いいただき、好評かつ効果的な制度と捉えております。  使う使わないについては個人差がある中で、80%以上も使っていただいていること、かなり高い利用率と捉えております。さらに、年々、交付件数・人数が増加していることが重要であり、制度が高く評価されていると認識しております。  その一方で、助成券の利用による移動実態を調査しますと、中心市街地周辺や病院が所在している地区での乗り降りが多いこと、またバスよりも利用料金が高いタクシーの利用が多く、実際にお住まいの地域によっては年数回の利用によって助成券が終わっている方もいると伺っております。  こうしたことから、このたび9月補正として議決いただいた「新型コロナウイルス対策地域公共交通応援事業」においては、国からコロナ禍に際して公共交通を支援していく方向性が出されたことから、対象者には今年度さらに1万5,000円分の助成券を交付させていただくことといたしました。  助成券制度については、今後もニーズの把握に努めつつ、方向性を検討してまいります。  以上でございます。 ○議長(神野義孝君)  1番 阿久根真一議員。 ○1番(阿久根真一君)  再質問いたします。  現在、助成券が配布されている対象者の中には介護タクシーでも移動が困難な方もいることから、生活するための物資供給や配送サービスを望む声もあります。国土交通省においても昨今の新型コロナ感染症予防に伴い、特例的にタクシーの貨物運送が認可され、民間独自で実践されている例もあり、国として特例の恒久化も検討されています。  交通弱者への支援事業は、今後も継続・拡充が必要であることから、助成券をさらに有効活用してもらうためにも、高齢者福祉と柔軟な連携をしつつ、既存の利用範囲に加え、タクシー券での飲食品配送サービスを流用可能とする旨の検討を始めてはいかがでしょうか。 ○議長(神野義孝君)  企画部長。 ○企画部長(井上仁士君)  お答えいたします。  御自身が移動するのではなく、生活のための物資供給や配送サービスに関してですが、今回の新型コロナウイルス感染症に関連したタクシーの貨物運送の特例については、運送する貨物の種類は、飲食店等からのテイクアウト用の飲料・食料に限定されるとのことで、本市においては現在1社が運輸局の認可を受けて、この特例制度を活用しております。  現在の特例制度においては、旅客運送の需要が回復した場合には、有償貨物運送を中止して旅客運送業務に注力するよう促すこととなっておりますが、現在、国として制度の恒久化の検討を開始したということでございますので、まずは今後の動向を注視しながら、またタクシー事業者とも意見交換を行いながら、助成券の柔軟な利用については検討してまいります。  以上でございます。 ○議長(神野義孝君)  1番 阿久根真一議員。 ○1番(阿久根真一君)  了解し、2点目の質問を終わります。  次に、3点目の質問になります。  先ほどの勝又英博議員の質問と一部重複となりますが、小山町では本年4月より新たなコミュニティバスの運用として、これまでの定期運行から一部路線を残しデマンド型に移行し、運用され始めました。  本市においても以前一般質問がなされたときに「本市はデマンド型バス・タクシーの導入は適さない」と明確に回答されていますが、当時そのように回答された背景を伺います。 ○議長(神野義孝君)  企画部長。 ○企画部長(井上仁士君)  お答えいたします。  デマンド型交通につきましては、本市では平成27~28年度にかけて、路線バスが少ない地域がある高根地区を対象に検討を行いました。地区住民の外出時の目的地を調査し把握するとともに、新たにデマンド型交通を導入した場合の利用意向につきましても調査しましたが、デマンド型交通の特徴である予約が面倒、交通結節点での乗り継ぎが大変、現時点ではまだ自身の運転や家族の送迎があるといった意見が寄せられました。  また、高根地区での検討においては、地元財産区・法人の皆様にも検討に加わっていただいた中で、費用対効果が極めて低く、とても採算に合わないという結論に至りました。  デマンド型交通につきましては、本市も他地域事例の調査も含めて様々な検討を行ってまいりましたが、利用者にとっては予約の煩わしさや目的地に直行できない効率の悪さがあり、既存の公共交通機関への影響もございますことから、本市には適さない交通形態と考えております。  さらに、仮に全市的に実施した場合には、対象者及び必要となる車両の多さから、年間3~4億円の経費が必要と試算されます。このため、費用対効果や交通事業者育成の観点も鑑みて、現在の「高齢者等タクシー及びバス利用料金助成制度」を開始したものでございます。  以上でございます。
    ○議長(神野義孝君)  1番 阿久根真一議員。 ○1番(阿久根真一君)  デマンド型交通に対する当局の見解は理解しました。  次に、4点目の質問になります。  平成28年、29年に総務委員会として「公共交通機関の研究」がなされ、翌年平成30年「市内公共交通機関の利便性向上」に関して5つの項目の要望が当局へ申入れがされております。  高齢者に対する施策は先ほどの答弁にもありましたので、それ以外の項目についてこれまで検討されてきた内容を伺います。 ○議長(神野義孝君)  企画部長。 ○企画部長(井上仁士君)  それでは、先ほどまでの答弁以外の項目につきまして、これまでの検討結果をお答えさせていただきます。  まず、項目2の郊外地域における公共交通施策の方向性でございますが、市街化区域住民は、応分の税負担をされておられますので、助成券制度にしても、ただ単純に距離に基づき助成金額を変えることには課題があると考えておりますが、全市的な枚数変更の必要性については、券の利用状況やニーズの把握に努めつつ、引き続き検討しているところでございます。  また、郊外においては、昨年から、市や県が協力する形で住民ボランティア主体による移動支援サービス事業が開始され、本年度も新たな地域での取り組みが計画されております。  次に、項目4の「民間の力のさらなる活用」についてですが、民間送迎バス活用については従来から研究しておりますが、道路運送法等関係法令の規制もございますので、今後も交通行政の動向を注視しつつ調査研究してまいります。  また、一昨年より、事業者と連携した利用促進事業を展開しており、今後も乗り方教室や公共交通をテーマとしたイベント「バスフェス」開催など連携を進めてまいります。  そして、項目5の「財産区・法人との連携」でございますが、市内5財産区とは公共交通維持に関しては従来から連携しておりまして、赤字バス路線運行に補助するバス交通活性化対策事業に対して繰出しいただいております。平成30年度には財産区支援により、暫定的に運行が1年延長された路線もございました。今後も財産区・法人とは必要に応じて柔軟に連携してまいります。  以上でございます。 ○議長(神野義孝君)  1番 阿久根真一議員。 ○1番(阿久根真一君)  委員会要望に対する対応状況については了解しました。  次に、5点目の質問になります。  交通弱者や観光客に限らず、将来的には自家用車を所有しなくても、より安全に簡単にシームレスに市内を移動できるような新たなモビリティサービスが行政にも求められてきます。隣の裾野市においては自動車メーカーが主体となり、モビリティも含めた近未来型の実証都市の建設がまさに始まろうとしていますが、本市としての中期・長期的な公共交通インフラに対するビジョンについて伺います。 ○議長(神野義孝君)  企画部長。 ○企画部長(井上仁士君)  お答えいたします。  裾野市におけるコネクテッドシティ(ウーブンシティ)の関連の動きは、トヨタの未来技術を実践する都市構想として、また本市にも直接的・間接的な影響を与える取り組みとして注視しております。  本市における先端技術活用によるまちづくりについては、裾野市の取り組みに先行する形で、エコガーデンシティ構想や、リコーをはじめJAXA、KDDIなど先端技術を有する企業・団体との包括連携協定に基づく取り組みにおいて、既に産官学連携を進めており、交通・移動支援の分野に関しても、今後さらに連携を深めてまいります。  トヨタグループ県内各社とも本年1月、各分野にわたる包括連携協定を締結したところでございまして、Society5.0を具現化するスマートシティ構築も視野に、自動運転の実証実験や観光用カーシェアリング等を取り組み内容として想定しております。  こうした新たなモビリティサービスは、単に道路が通っていれば実現可能となるわけではなく、自動運転技術に端的に表れておりますように一定の条件を備えたインフラ整備を伴うという側面もございますが、本市においては今後も、持続可能な地域発展のため、新たな技術革新等に着目しながら、関係者とともに、中・長期的に公共交通活性化や移動支援に取り組んでまいります。  以上でございます。 ○議長(神野義孝君)  1番 阿久根真一議員。 ○1番(阿久根真一君)  再質問いたします。  箱根町では民間企業が主体となりICTを活用したMaaSによる観光型移動サービスの実証実験がなされ、その成果が上げられていますが、当市においても民間の技術力を積極的に取り入れた新たな公共交通サービスを、近隣の市町との本格的な広域事業として推進していく考えはありますか、伺います。 ○議長(神野義孝君)  企画部長。 ○企画部長(井上仁士君)  お答えいたします。  国の令和元年度「新モビリティサービス支援事業」「スマートモビリティチャレンジ支援対象地域」として、神奈川県・川崎市・箱根町・小田急グループから構成される実装実験推進協議会が選定され、事業実施されましたが、このうち箱根町については主として観光客を対象としたMaaS(mobility as a service)として、複数の交通モード連携による乗継ぎなど、利便性向上に取り組んだものと認識しております。  本市においても民間の技術力を生かした新たな公共交通サービスの取り組みの進展を注視し、調査研究をしておりますが、一例としまして、豊田市・つくば市等も加盟している超小型EV活用のための「次世代モビリティ都市間ネットワーク」に加盟し、観光あるいは生活交通における先端技術活用による移動支援サービスについて情報交換しております。  先端技術を活用した広域的な公共交通に関しましても、こうした調査研究の中から、民間企業及び近隣自治体とともに、多角的な検討を進めてまいります。  以上でございます。 ○議長(神野義孝君)  1番 阿久根真一議員。 ○1番(阿久根真一君)  再質問いたします。  第四次御殿場市総合計画後期基本計画素案において7つある政策方針の中でも「道路、公共交通機関の環境整備」については、過去から目標数値が一番低いものとなっており、現在においても他の政策と比べると遅れをとっている感が否めません。  今後5年後、10年後の都市計画においても肝となる公共交通サービスに対する新たな政策をより具現化していくために、本市としてロードマップを作成しませんか、伺います。 ○議長(神野義孝君)  企画部長。 ○企画部長(井上仁士君)  お答えいたします。  第四次総合計画と都市計画マスタープランの両者を踏まえた、公共交通に特化した分野別計画として、平成28年4月に「御殿場市地域公共交通網形成計画」が策定され、公共交通の維持や利用促進に関する施策がまとめられております。  本年度はこの計画の中間年度として評価検証・見直しの年度でございます。本市は、市域がコンパクトかつ人口密度が高いような都市ではないため、公共交通に関しても、費用対効果の割に満足度が上昇しがたい傾向があると捉えておりますが、この計画の見直しに当たっては、基幹的な公共交通機関である路線バス・タクシーの確保・改善策に加えて、この間に登場してきた先端技術や民間の動向についても着目しながら、5年後、10年後に向けた構想あるいはロードマップについて考えてまいります。  いずれにしましても、大都市圏一極集中を打破するため、御殿場市の魅力や環境を生かしたまちづくりに取り組むことで、関係人口・定住人口が増加していくまちづくりを進めていくことが必要であり、公共交通の将来に結びついていくものと捉えております。  以上、答弁とさせていただきます。  (「期待して終わります。」と阿久根真一君) ○議長(神野義孝君)  以上で、1番 阿久根真一議員の質問は終了いたしました。  次に、7番 川上秀範議員の質問を許します。  7番 川上秀範議員。 ○7番(川上秀範君)  それでは、私から通告に従い、「GIGAスクール構想における本市の学習指導への取り組みについて」一括質問一括答弁方式による一般質問をさせていただきます。  政府及び文部科学省は、昨年12月、令和の学びのスタンダードとして、GIGAスクール構想を打ち出しました。これは、児童・生徒1人1台のパソコンやタブレットなどの学習端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備することで、特別な支援を必要とする子どもを含め、多様な子どもたち一人一人に個別最適化され、資質や能力が、一層確実に育成できる教育ICT環境の実現と、これまでの我が国の教育実践と、最先端のICTのベストミックスを図り、教師・児童・生徒の力を最大限に引き出すものです。  2020年4月7日に「新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言」が発令され、文部科学省では、緊急時においてもICTの活用により、全ての子どもたちの学びが保証できるよう、「1人1台のパソコンやタブレット端末」や家庭での通信環境の整備など、GIGAスクール構想における「ハード、ソフト、指導体制」を一体とした整備を、早急に実現させることを目的に、令和2年度1次補正予算にて、総額約2,292億円が計上されることとなりました。  また、同日、文部科学大臣は、「GIGAスクール構想を早期実現するための支援などを積極的に推進し、令和3年度の3月までに小中学校へ100%整備を目標とする。」と会見を行いました。政府及び文部科学省は、当初4年間をかけて環境を整備していく予定でしたが、これにより、1年間で整備することとなりました。  本市も今回の9月定例会にて、児童生徒へ1人1台のタブレットの整備などに対する補正予算が可決され、本年度内にこの整備を進めていくこととなりました。  現在、我が国が迎えつつあるSociety5.0時代は、ICTの活用が前提となる世界です。この変化が激しく、予測不可能な社会を生きていく子どもたちには、自ら未来をたくましく切り開いていく主体性や、豊かな創造性を身につけることが求められています。よって、従来の一斉教育だけではなく、多様な子どもたちを誰一人取り残すことのない、個別最適化された創造性を育む教育の実現が重要であり、ICTで次世代の人材を育てる必要があります。パソコンやタブレットなどの学習端末は、鉛筆やノートと並ぶマストアイテムとされ、1人1台を整備することは、教育におけるICTを基盤とした先端技術の活用が必須であるため、持続的に実現させていかなければなりません。  ただし、児童生徒1人1台の学習端末の整備や、高速大容量通信ネットワークというハードの面の充実は、あくまで土台であり、GIGAスクール構想は、学びの充実や指導体制などのソフト面がそろって初めて動き・加速できるものと考えます。  私は、福祉文教委員会に所属しており、先日、委員会のメンバーの方々とともに、4年ほど前から普通教室や体育館での授業にタブレットを学習端末として活用している富士岡小学校の1年生の授業を視察させていただきました。  授業の中に、どのようにタブレットを取り入れているのか、児童はそれを活用できているのか、操作方法が分からなくて、ついていけない児童はいないか、タブレットで遊びだしてしまう児童はいないかなどと懸念を持ちながら見ていましたが、担任の先生は、タブレットはあくまでも教材、ツールの1つとして上手に活用しており、児童も、タブレットで遊びだすことなく、先生の指示に従い、問題なく操作していました。その様子を見て、子どもたちは、タブレットのような新しい教材が導入されても、使いながら、その操作方法を自然に学び、すぐに慣れ、使えるようになるのだと思いました。  また、タブレットが児童同士のコミュニケーションをつなげる1つのハブの役目を果たしていると感じ、私が小学生の頃よりも、より学びやすい環境に大きく変化しているのだと思いました。  GIGAスクール構想のソフト面の1つである、「学びの充実」を図るために、タブレット端末が本市の小中学校の全児童生徒に整備された場合、学習指導への取り組みは今後どのように変化していくのでしょうか。  また、「確かな知性を育む教育の充実」を主要政策の1つとしている本市では、学習支援ソフト「eライブラリアドバンス」を導入しておりますが、デジタルコンテンツに関して今後どのような計画でいるのでしようか。今年度より改訂された学習指導要領との関連も含め、私自身も小学生の子を持つ一人の親としても、大変気になるところです。  また、このコロナ禍において、社会では、リモートワークやWEB会議の活用など、職場や現地に行かなくても仕事ができる、新しい働き方が構築されてきております。学びの場においても、タブレットなどの端末を活用し「学校へ行かなくても、家庭でオンライン授業を受けることができるのでは」と期待する保護者の声もあります。  そこで、以上を含め、本市としてのGIGAスクール構想を踏まえた学習指導への取り組みについて伺います。 ○議長(神野義孝君)  教育監。 ○教育監兼学校教育課長(勝俣 純君)  GIGAスクール構想における本市の学習指導への取り組みについて、お答えいたします。  2019年3月時点において、日本における教育用コンピュータ1台当たりの児童生徒数は、5.4人でした。実際、日本の子どもたちの「学習面」でのICT利用は、OECD加盟国の中で最下位となっています。その一方で、子どもの家庭におけるICT機器の使用は、OECD加盟国の中では、平均以上となっています。端的に言えば、日本の子どもたちにとって、ICT機器は、学習材ではなく「遊び道具」すなわちゲーム機として、世界水準を上回って普及、活用しているといった現状にありました。  学校におけるICT活用は、世界から後塵を拝している状況です。このままでは、より高度化する情報化社会、また、グローバル化の進む世界にあって、日本の子どもたちは諸外国の子どもたちと対等に渡り合うことができません。こうした日本の学校全体のICT環境が世界的に見て、あまりにも貧弱であった実態に対処すべく、コロナ禍の社会状況の変容に相まって、GIGAスクール構想によるICT機器等の導入が、一気に加速しました。  ここで、確認しておきたい点は、GIGAスクール構想によって、学校の何がこれから変わるかについてとなります。新型コロナウイルス感染防止のために、3月以降、学校は全国一斉休業となりました。こうした中、子どもたちの学びを保障するために、オンライン授業の実現が強く叫ばれましたが、学校本来の姿は、子どもと教師、子ども同士が向かい合って、コミュニケーション能力を高めながら、協働的に学びを深めていくものです。GIGAスクール構想の本来の目的は、1人1台端末と高速大容量通信ネットワークが整備されることにより、今年度から全面実施された学習指導要領の狙いの具現化を図ることです。  これまでの授業実践の蓄積に加え、ICTの活用による、学習活動のより一層の充実、主体的・対話的で深い学びの視点からの授業改善が主たる目的となります。本市におきましては、1人1台のタブレットに「ロイロノート」という授業支援ソフト(アプリケーション)を導入し、授業改善を図ります。  まず、授業中においては、これまで困難であった、児童生徒の多様な意見を迅速に集約し、リアルタイムで一覧にして全児童生徒に示すことができます。これにより、児童生徒が一斉に、多様な考えを共有することができるため、思考を深めていくための大きな助けとなります。  また、児童生徒が意見を出すまでに、どのように思考を働かせたのか、タブレットを通して可視化することもできます。また、紙のノートとは違い、自分の考えを書いたり消したり、画面上で動かしたりすることもできるため、容易に何度も試行錯誤を繰り返すことができ、より思考を深めることができます。  従来の紙のノートやプリントでは、回収・配付に時間がかかりましたが、そのような時間が短縮されるため、授業中に児童生徒が活動する時間が増加します。1時間の授業の質・量ともに、より充実していくことが考えられます。  このように1人1台のタブレット機器を活用することで、学習指導要領に示されている「主体的・対話的で深い学び」に授業改善が直結していくと考えられます。  また、併せて、現在も利用しているドリル学習ソフト「eライブラリ」を活用したいと考えています。これにより、家庭学習の充実や不測の事態による臨時休業時にも、全ての子どもたちが、速やかに安定した学習ができるようになることが期待されます。このソフトにより、家庭学習において学校の予習・復習に取り組むことができるだけでなく、個人のレベル、興味・関心に応じた学習を進めることができます。こうした複合的な取り組みが、GIGAスクール構想による「学習の個別最適化」と言えます。さらに、子どもの学びの履歴が残るため、子どもが自分の成長を実感することができ、学習意欲の向上につながることも期待されます。  このように、1人1台のタブレット導入により、授業の進め方だけでなく、従来使用してきたノート等の教具の取扱いも大きく変わってくることが予想されます。  いずれにしましても、GIGAスクール構想という教育の大きな流れに適切に対応し、御殿場の子どもたちの学力向上のみならず、タブレットを用いた新しい時代のコミュニケーション能力をはじめとする様々な能力の向上にも努めてまいります。  以上、答弁とさせていただきます。 ○議長(神野義孝君)  7番 川上秀範議員。 ○7番(川上秀範君)  ありがとうございました。児童生徒に対する学習指導への取り組みについて理解いたしました。ぜひ、ICTの環境の整備が目的ではなく、この環境を使って子どもたちの学びが広がっていくことを期待いたします。  続いて、GIGAスクール構想を達成させるための教職員の負担に関して伺います。
     先日視察させていただいた富士岡小学校では、先生方もタブレットの操作に慣れており、授業でもスムーズに活用されていました。しかし、これから先、市内、全児童生徒がタブレットを使用するとなると、操作に不慣れな教職員も多数いることが考えられ、それを解消するための研修も行われることと思います。  また、今年度から改訂された小学校の学習指導要領によって導入された外国語活動やプログラミング教育の取り組みと合わせると、研修の時間も増え、教職員へのさらなる負担増となるのではないでしょうか。これにより教職員が、児童生徒とつながりを持つ時間が減ってしまうのでないか不安です。  しかしながら、GIGAスクール構想は、教職員の働き方改革にも触れています。文部科学省は、「総合型校務支援システムをはじめとしたICT導入・運用を加速させることで、教職員の負担を軽減できる。」としていますが、本市としての見解を伺います。 ○議長(神野義孝君)  教育監。 ○教育監兼学校教育課長(勝俣 純君)  指導する教職員への対応についてお答えいたします。  最大限にICT機器活用ができるよう、タブレット機器導入に当たり、市内全ての教員が基本的な機器の操作、アプリの操作ができるように、今年度中に基本的なタブレット機器やアプリ等の操作の研修会を行います。  来年4月からは、全ての教員、特に小学校教員が、積極的にICT機器を活用した授業を行うことを目指しています。  また、来年度以降につきましては、各校から数人程度、ICT機器(タブレット・アプリ等)の活用を推進していくICT活用推進教師を育成していく予定です。そして、その教員を中心に各校において、ICT機器やアプリの活用方法について研修をし、教員全体の情報活用能力を向上させていく予定です。  合わせて、県教育委員会におきましても、ICTを活用した教育の促進に向け、新たに「ICT教育戦略室」を設置し、県総合教育センターとともに連携しながら、教員研修や学校現場の支援を実施する方針を打ち出しています。  また、「総合型校務支援システムをはじめとしたICT導入・運用を加速させることで、教職員の負担を軽減できる。」という国の主張につきましては、確かに情報の集約及び分析を迅速にできることが、ICT機器活用の最大の利点と言われておりますので、例えば、大人数のテストの採点や意見の集約、個人記録の保存などが、児童生徒一人一人が持つタブレットから、担当教師が、直接操作できるようになるため、文書等処理時間の短縮が期待されます。  一方で、将来的に、タブレット上で児童生徒が家庭学習を進めた場合など、担任の先生は、勤務時間外の夜間であっても、その採点作業などを進めることができるため、勤務時間の管理が難しくなることも想定されています。  いずれにしましても、本市においても、県教育委員会等、関係機関と連携を図りながら、教員研修を計画的に進めてまいります。  以上、答弁とさせていただきます。 ○議長(神野義孝君)  7番 川上秀範議員。 ○7番(川上秀範君)  教職員の方々については、いろいろ御苦労もあるかと思いますが、子どもたちの学びの保障のためにも御対応いただけるよう要望いたします。  GIGAスクール構想は、生徒、児童、教職員においても、教育における大きなターニングポイントであると感じました。  最後に、GIGAスクール構想を取り入れていく中で、新しい学習指導要領で目指す「生きる力」、「知」 確かな学力、「徳」 豊かな人間性、「体」 健康体力をどのように育てていくのか伺います。 ○議長(神野義孝君)  教育監。 ○教育監兼学校教育課長(勝俣 純君)  これまで長年、日本の学校教育の基本であった「履修主義」、いわゆる「同一年齢の子どもたちが、同一内容を学ぶ」義務教育の在り方が、「個別最適化」という理念の浸透により、目標に対する学習成果を求められる「修得主義」に移行していく可能性が出てきました。  学習内容の修得状況を主眼として学校教育が変わっていくことになりますと、義務教育段階における「飛び級」や「留年」する児童生徒が出ることも想定されます。GIGAスクール構想で、一気に加速する「個別最適化」の流れの中で、本市においては、どのような人間を育てていきたいのか、目指すべき人間像を明らかにしていく中で、知・徳・体のバランスの取れた教育を推進してまいります。  実際に、このコロナ禍により、子どもたちの体力は大きく下がっています。人と人との関わりが阻害されている現在の社会状況下では、豊かな「徳」を育む機会は限られています。  GIGAスクール構想による1人1台タブレットは、新学習指導要領に示された「主体的・対話的で深い学び」を具現化するための重要な教具であり、主に、「知(確かな学力)」を育む学習端末と言えます。  「徳(豊かな人間性)」を育む教育の礎となるものは、多くの人と人が、直接触れ合い、喜怒哀楽の感情を交えながら、様々な体験を重ねることにより、長い年月をかけて育まれていくものです。  これまでにもお話しさせていただいているとおり、本市においては、このコロナ禍にあっても、学校規模等を考慮しながらも、感染症対策を講じながら、子どもたちの体力向上の視点からも、何とか例年どおりにできる限り学校行事等を実施するよう善処しています。  いずれにしましても、御殿場市子ども条例の理念である「社会総がかりで御殿場の子どもを育てていこうという体制づくり」により、学校を取り囲む多くの皆様方の協力により、子どもの「知」の面だけでなく、「徳」や「体」の側面も豊かに育んでいけるよう、コミュニティスクール制度の拡充など、様々な方策を模索していきたいところです。  以上、答弁とさせていただきます。  (「終わります。」と川上秀範君) ○議長(神野義孝君)  以上で、7番 川上秀範議員の質問は終了いたしました。 ○議長(神野義孝君)  以上で、本日の日程は全部終了いたしました。 ○議長(神野義孝君)  この際、本席より定例会再開のお知らせをいたします。  明日9月18日午前10時から9月定例会を再開いたしますので、定刻までに議場に御参集願います。  本日は、これにて散会いたします。  お疲れさまでした。                          午後1時52分 散会...